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第50話 後ろ盾

美奈子は心の中で彼女を恨んでいるものの、彼女が自分の秘密を握っているため、あまり露骨に対立するわけにはいかなかった。

「私のチームリーダーとしての経験は他の人に劣らないし、部門長として業績がトップクラスです。佐藤副社長、まだ前回の件でご立腹でしょうか?」

美奈子は明らかに不満を持っていた。

鈴楠は目を伏せて笑いながら、「そういうわけではありません。以前、林部長が巨立グループとの提携を舐めていたことを覚えています。その態度は提携の方向に影響を与えるので......」

「もちろん、会社の決定には従います」美奈子は急いで表明した。

鈴楠は婉曲に笑いながら、「リストはすでに取締役会に提出しましたので、おそらく変更は難しいでしょう。次の機会にまた話しましょう」と言った。

彼女はすでに物を片付け始め、見送りの意図は明らかだった。

美奈子は歯を食いしばりながら、「何とかする方法はまだあります。佐藤副社長が信じなくても、見ていてください」

彼女はハイヒールを鳴らしながら腰を振って立ち去り、鈴楠は少し考え込みながら眉をひそめ、「よし、魚が引っかかった」と思った。

午後にならないうちに、内線電話が鳴り、「章明取締役があなたを彼のオフィスに呼んでいます」

もうすぐ定年退職するじじい?

鈴楠は眉を上げて、「わかりました」

会社内では、彼女の身分を知っているのは晋也と和也だけであり、この章明が新しい副社長に何を話すのか見てみたかった。

章明は投機取引を好む人で、特殊な方法で取締役会の一員になり、その後は手放そうとしなかった。彼の持ち株は少なく、グループにとって脅威ではないので、そのままにしておいた。

ノックしてドアを開けると、疲れた声が聞こえた。「入ってください」

鈴楠は笑顔で入って、「章取締役、何かご用ですか?」

章明は彼女を見て一瞬目を輝かせたが、すぐに何かを思い出したようで、一気に落胆した。

「どうぞ、座ってください」と彼は前の席を指差した。

鈴楠は遠慮せずに座った。

章明は笑いながら咳払いをし、「佐藤さんは本当に素敵ですね。だからこそ、佐藤社長が皆の反対を押し切って、あなたをこのポジションに就けたのも納得です」

鈴楠は微笑み、なるほど彼女の背後にいる晋也を気にしているのか。

彼女は説明せずにただ笑って彼を見守った。

章明は彼女が反応しないの
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