三井鈴はすぐに彼の上着を脱ぎ、彼の腹部の筋肉に沿ってキスをして行った。彼をあんまりにも愛し、渇望しているため、彼女は耳の根元も赤くなった。彼女は動きを止めず、かすれ声で言った。「安田家の嫁になった経緯を尋ねてくれたお陰で、あなたの妻としての最も大切な責任は、子供を産むことだと思い出させてくれた……..私はただ責任を果たしているだけなんだ」「何てことを?!」彼が怒り出すと、腹部の筋肉の形が鮮明になった。「部屋には媚薬を少し吹きかけたの。ちょっと我慢して、すぐ楽にさせるから。私はただ...…子供が欲しいだけなんだ…...」彼女はほしいままに振る舞うようになり、かつて彼の前で見せた優しさと従順さを一変させた。彼女の卑劣な挑発を感じた後、体は本能的に反応したように、安田翔平の呼吸は重くなってきた。しかし、彼は媚薬の影響によるすべての反応を抑え込み、思うままに動いた彼女の指を摑まえた。「お前を見てるとへどが出る!」女性の溢れ出た欲望は、この言葉によってあっさりと消えてしまった。彼女は湿った目を上に向け、最後に一度、期待しながら尋ねた。「私とするのは、そんなに嫌か?」「そうだ!」安田翔平は彼女をじっと見つめ、ためらうことなく言った言葉で、彼女の心は容赦なく引き裂かれた。そして次の瞬間、彼女は安田翔平に思い切り押しのけられた。安田翔平は彼女に対して一言もかけず、地面から服を拾い上げ、すばやく身につけた。シャツのボタンを留めるのさえもせずに、彼女の前をすっと通り過ぎて行った。ドアが「バタン」という音と共に閉められると、寝室全体が静まり返った。三井鈴は床にぐったりと座り込み、爪を掌に強くあてがって、冷たい表情になっていた。これで彼女も漸く諦められるだろう。翌朝、三井鈴は足を引きずりながら、荷物を運んで階下に降りてきた。食卓の方では使用人が既に料理を並べていた。お婆さんはこの時間帯は祠堂で仏を拝むので、リビングにはいなかった。「おや、お義姉さん、運よく帰って来たばかりなのに、荷物を運んでどこに行くの?旅行?」と言ったのは安田遥で、安田翔平の妹であり、現在は浜白大学の2年生であった。彼女は三井鈴のことが気に入らないから、いつも皮肉っぽい口調で話すのだ。「でも、出かけるなら、先ずは私のヘアメイクをして、学校に送
三井鈴がこんな口調で彼女に話しかけるなんて、小泉由香里は信じられなかった。彼女は巨大なサファイア指輪をはめた指で三井鈴を差し、「何、その態度!もう一度言ってごらん!」三井鈴は全く恐れることのない様子で、美しい目で小泉由香里を見つめながら言った。「あの若菜という女が安田家に入った以上、家事なんかは彼女にやらせてくれればいいんじゃない。私はもう二度とやらないと言ってました!」はっきりとした言葉が三井鈴の口から一つずつ吐き出された。こう言った後、彼女は今までにないほどの軽快さを感じた。一方、小泉由香里は怒り狂った。「お前!」「お母さん!」と安田遥は小泉由香里の腕を掴んで、声を低くして言った。「お義姉さんは怒っているんですよ!昨夜兄さんが……」安田遥は昨夜のことに尾ひれをつけて述べた。彼女の口の動きと得意そうな様子から、それが良い話ではないこともわかった。小泉由香里はすぐに分かったように、三井鈴に向かって高慢な態度で言った。「どうやら夫を留められなかったね、私に八つ当たりするな!」荷物を引きずってゆっくりと歩いている三井鈴は、突然別荘の外で立ち止まった。こめかみがぴくぴくと動いた。彼女は怒りと罵りたい衝動を抑えて、冷たく言った。「この3年間、あなたはずっと私が不妊じゃないかと疑っていますよね?私を疑うより、安田翔平のほうを病院へ行かせて診てもらった方がいいんじゃない?私はあんなふうに挑発したのに、彼は勃起しなかったのですよ。果たして誰の問題なのか、確かめてみたらどうですか?」「あなた……」この言葉を聞いて、小泉由香里と安田遥は驚いた。小泉由香里は衝撃から我に返った後、かんかんに怒った。「翔平とすぐに離婚させることも可能だよ!」彼女は今まで、お婆さんのために、安田家にいる他の人との争いを避けるように、我慢していた。しかし、今になって、彼女はもう気にしなくなった。三井鈴は淡々と言った。「どうぞお好きに」こう言っておいて、小泉由香里がどれだけ騒ぎ立てようか気にせず、彼女は安田家の古屋敷を去った。彼女が去った後、小泉由香里はますます何かがおかしいと感じたので、安田遥に言った。「部屋に行って、金になるものはなくなってないか確認してきて。彼女の箱が重そうだから、何か入っているかも!」しばらくして、安田遥は慌てて
この時、三井鈴は空港のロビーに立ち、すでに暗くなった携帯の画面を見つめ、やっと一息ついた。おそらく安田家で自分を抑えるばかりしていたから、今は却ってとても心地よいのだ。行き交う旅行客を見て、浜白を離れることを考えると、悲しいの?もしかしたらそうかもしれないが、でもそれより、胸の痞えが下りていい気分だった。以前は安田翔平が彼女を愛していないとしか分からなかったが、今は彼が他に好きな人がいるんだと分かった。このような状況なら、彼女はスッキリと手を放したほうがよかった。三井鈴は空港のカウンターで直ちに搭乗手続きを済ませた。彼女は既にドバイ行きの航空券を予約していた。以前、彼女は家族から離れ、身分を隠して浜白に残った。もしも祖父が今回のドバイ医療機械展示会のプロジェクトを機会に、彼女と安田翔平に会おうとしていなかったら、このプロジェクトを安田グループに任せるはずがなかったのであろう。しかし、安田翔平は感謝の言葉さえもなく、彼女一人だけをドバイ行かせた。今、帰る時が来た。「申し訳ございません、このチケットは現在異常状態になっており、搭乗券を発行することができません」と、ファーストクラスのカウンターの女性が丁寧に彼女を断った。「異常状態?」三井鈴は驚いて言った。「おかしいなあ、もう一度確認して貰えますか」「このチケットは会社のアカウントで予約されたものですか?先ほど返金操作が行われているかもしれません。身分証明書を見せていただけますか?」「……」三井鈴は納得した。そうなんだ、彼女は安田翔平の秘書で、ほとんどのアカウントは安田グループが申請したものだ。そして身分証明書は……先日、会社の人事部に登録用途で持って行かれたことがあった。三井鈴は本当に困った。彼女はただこの自分を悲しませた街を早く離れることしか考えておらず、こんな細かいことまでは考えていなかった。「申し訳ありません、電話で確認してみます」彼女は横に行き、携帯電話を取り出して、安田グループの人事部に電話をかけようとした。しかしまったくかけられず、番号がすでに解約済みだと表示された!三井鈴はぞっとした。彼女はなぜ忘れてしまったのか、彼女の携帯番号も安田グループが契約したものだと!安田、安田め!この二つの文字はまるで悪霊のように付き纏っ
社長の婚約者?彼女は安田翔平と隠れて結婚しているため、グループのスタッフたちは彼女が安田翔平の秘書であることしか知らなかった。それでは、森田が言っていた婚約者は、佐藤若菜か?彼女は離婚したばかりなのに、佐藤若菜は堂々と安田グループに現れ、これからはかつて彼女が寝ていたベッドで安田翔平とさまざまな試しをするだろう。ただそれだけ考えると、三井鈴の心は激しく締め付けられた。にもかかわらず、彼女はまったく遠慮せずに「ありがとう」と言い返した。そして、人事部のオフィスエリアを離れた。後ろで、森田は意味不明な眼差しで彼女の背中を見つめていた。三井鈴が社長に対する思いは誰でも見ていれば分かるものだ。解雇されるのも当然だ。彼はパソコンを起動した後、変な口調で「あら、面白いことになる~」と言った。社長室の階に到着した後、三井鈴はエレベーターから出るとすぐにアシスタントの蘭に出会った。「三井さん、帰って来ましたか」蘭は彼女の手に持っている荷物を見た。彼女がきっと身分証明書のために帰って来たと分かって、指代わりに書類を使って会議室の方向を指した。「身分証明書なら、社長に渡しました。社長は今三つ目の会議中です。急いでるんですか?社長にお知らせしましょうか?」「ああ、いいです」三井鈴は冷たい口調で言った。「ここで待っています」「そうですか。分かりました。それじゃあ、コーヒーを入れましょうか?」蘭雅人は安田翔平が三井鈴を辞めさせるつもりがないことを知っていた。三井鈴は多くの仕事や一部の重要なプロジェクトを担当していた。辞めた後すぐに適切な担当者を見つけるのは難しかった。彼は三井鈴に対する態度も以前よりもずっと柔らかくなった。「トルコのハンドドリップコーヒー、最近習いました」「いいえ、結構です。ありがとう」安田翔平と完全に縁を切りたいので、彼の周りの人々に対する態度は悪くなるに決まっていた。彼女はそう言ったので、蘭雅人も何も言わずに、萎れていてファイルを安田翔平に手渡しに会議室に入った。三井鈴はオフィスエリアを通り過ぎ、会議室の方向をちらりと見た。ドアの隙間から見たら、中には人がいっぱで、テーブルに座っていた。彼女は安田翔平のの艶のある後頭部を見た。肩幅がちょうどいいほどスーツの上着を支えていた。彼は両側の人々の
三井鈴は拒絶したかった。彼女は既に辞表を出したから、これらの仕事をする義務はなかった。それに、佐藤若菜の言葉遣いは彼女に尋ねているようだが、口調は命令に近いのだ。彼女は非常に不快を感じていた。しかし、自分の身分証明書は安田翔平が持っているのを思い出した。こんな雑用はこれが最後だし、コーヒーを出す時に物の返還を求めることもできると思った。彼女は深呼吸して、応じた。「はい、分かりました」「うん、ありがとう」と佐藤若菜は言って、出て行った。妊娠後の彼女は母性本能が擽られたが、お嬢様としての自信と輝かしさは、三井鈴とは大違いだった。昔、彼女は家族に庇われ、佐藤若菜と同等以上の待遇をされていた。数年が立ったら、今の彼女は落ちぶれてしまったようだ。大きなギャップを感じた彼女は立ち止まり、しばらく呆然としてから、すべての感情を片付けた。トイレから出て、ティールームに行ってコーヒーを淹れた。安田翔平の好みは、黒糖三つ、ミルク一つを入れたブラックコーヒーだった。途中、会議は終わり、人々は続々と会議室から出てきた。安田翔平は見かけられなかったので、おそらくオフィスに入った。安田翔平はコーヒーを持って、社長室のドアをノックした。「どうぞ」安田翔平の冷たい声ではなく、佐藤若菜のひ弱そうな声が聞こえた。安田翔平が持っているコーヒーカップは揺れて危うくこぼれそうになった。しばらく躊躇った後、彼女は勇気を出して社長室のドアを押し開けた。ドアが開く瞬間、彼女は佐藤若菜が安田翔平を抱きしめ、彼の膝の上に座っているのを見た。心の準備はしていたが、突然このような光景を見ると、三井鈴は落ち着くことができず、心臓はほとんど鼓動が停止してしまうほど痛んだ。彼女に見られた佐藤若菜は少し恥ずかしそうだった。「ここに置いて、下がってください」佐藤若菜の優しい声が彼女を現実に引き戻した。彼女はゆっくりと頭を上げ、一定の距離を離れたまま、自分をじっと見つめる安田翔平の目を見つめた。その表情はとても冷たくて、彼女を一瞬で消してしまいそうだった。この瞬間、この男はわざとやっているのだと、直感が言っていた。彼女がなぜここにいるのかを知っているのに、それでも彼女にこんな光景を見せて、彼女を困らせるのだ。「三井さん?」彼女が反応しない
社長室の雰囲気は一瞬で非常に冷たくなった。今までの三井鈴は、いつも気を遣って安田翔平と話していた。オフィスエリアで、態度がこんなに強硬で冷たいのは初めてだった。安田翔平の顔色が急速に暗くなった。「本当ですか? 翔平?」佐藤若菜が近づいてくる瞬間、安田翔平は眉をわずかに顰めた。「ないよ」彼は建前さえもせずに言った。「彼女が言ったろう、安田グループは優秀な人材が揃っているので、一秘書の身分証明書を押収する必要ない」「しかし、退職するなら、引き継ぎをきちんとしなさい。安田グループの制服を着て、何の引き継ぎもせずに去るのは、規則に違反した」この瞬間、三井鈴はようやく安田翔平が身分証明書を押収した意図を理解した。会社に残るか、何も持たずに去るか。彼女が必ず屈服すると確信して、このような手段を使った。その瞬間、彼女のプライドはこの男に踏みにじられた。「そういうことですか。なら、三井さんがいけなかったですね」「翔平との関係を誤解するところだったですよ……」佐藤若菜が安田翔平の腕の中に入ろうとするのを見ていると、三井鈴は震えを抑えて、直ちに黒いコートを脱ぎ、シャツのボタンを一つずつ外した。「脱ぎます」とすっきりと言った。安田翔平が言った通り、終わるなら綺麗さっぱり終わらせよう。彼女のこの動きで、社長室はすぐに静まり返った。佐藤若菜は驚きの表情で彼女を見ていた。元々頭を少し下げて、欲望に染まっていた安田翔平も一瞬固まった。最近のやり取りで、彼は三井鈴がすっかり変わったのを感じていた。その感じは言葉で表現できないもので、まるで彼の枷から完全に解放されるような感じだ。彼はコントロールできなくなった。それとも、3年間の結婚生活で、彼はこの女性を本当に理解したことがなかったのだろうか?社長室で騒いでいるのを聞いて、多くの社員が興味津々でドアの前に集まった。いつも優しく頼みやすい三井さんに、こんなに強硬な一面があるとは誰も思ってもみなかった。退職するために、人の前で制服を脱ぐなんて!シャツが地面に落ちた後、三井鈴は白いキャミソールだけを着ていた。美しい体が透かして見えた。体型がとても良くて、かつての同僚たちは感嘆の声を上げた。「三井さんの体型がこんなに良いなんて、思わなかった!」「そうだ
「翔平?」佐藤若菜は、目の前にいる二人の本当の関係を知らなかったが、邪魔されたと思った。「早く三井さんを行かせてください!久しぶりの再会なので、お母さんたちが家であなたを待っています」と言った。優しい女性の声が安田翔平を現実に引き戻した。安田家は佐藤家に負い目を持っているから、彼は佐藤家を訪ねるべきだ。しかし、三井鈴はこの言葉を聞いても、顔に一切の変化も見せず、異様な表情もなかった。彼のすべては、彼女とは関係がないようだ。彼はとても不愉快で、表情も冷たくて複雑になった。「身分証明書はそこに置いてあった」三井鈴は男性が指す方向を見て、自分の身分証明書の上にウォーターサーバーが置いてあったのを見た。まるで彼女自身が彼に嫌われているかのようだ。「ありがとう」彼女は心の中のすべての苦い感情を抑えて、身分証明書を取り上げた。ためらうことなく、背を向けた。彼らの背中に、厳しく冷たい視線が向けられているのようだった。彼女は社長室のドアを押し開いた瞬間、オフィスエリアに居る人々は一斉に視線を向けた。興味本意で見ている人もいれば、彼女を同情する人もいた。でも、情報を手に入れ、世間話のネタにしようとする人が圧倒的に多かった。彼女が安田翔平を誘惑したから、彼の本命に追い出されたという噂もあった。彼女は法律上守られている妻なのに、愛人だと誤解された。三井鈴はエレベーターの中でついに目が赤くなって、それでも必死に涙を堪えた。一階のロビーに到着したとき、後ろから足音が聞こえてきた。まさか、蘭さんが傘を持って来たとは思わなかった。「雨が降っています。寒いなら、僕の上着もあげます」と言った。大きなグループの中で、誰でもつれない人ではなかった。彼が服を脱ごうとしたのを見て、三井鈴は弱みを見せず、それを止めた。「蘭さん、ありがとう。さようなら」彼女のこのようなうらぶれた様子を見て、蘭雅人は口を動かし、彼女にどう返答すべきかわからなくなった。彼がためらっている間に、三井鈴はもう決意を固めて去り、激しい雨の中に入り込んだ。このような時こそ、強い風と雨に当たり、完全に目覚めさせるのだ。再び空港行きのタクシーの中に座り、三井鈴は窓の外の激しい雨を見て、視界には何年も暮してきたこの街がぼんやりと映り込んできた。ついに我慢
古屋敷の中で、使用人は既に待っている。安田翔平のコートを受け取り、後ろにいる佐藤若菜を見て、少し驚いた。「佐藤様、お部屋は準備ができましたので、この廊下からお上りください」佐藤若菜は元々安田翔平の後ろをついて歩いていた。古屋敷のエレベーターに入ろうとしたが、足を止めて驚いた表情でこちらを見た。「私と翔平は同じ部屋じゃないですか?」安田翔平は彼女が古屋敷に住むことに同意した以上、彼女との結婚も視野に入っているはずだった。同じ部屋に住むのが当たり前だった。彼女の言葉を聞いて、安田翔平は眉を顰めた。「これは……」井口はどう返事すべきか分からなかった。三井鈴が家の中に何かを残すのが嫌で、小泉は客室を用意させるようにした。「私はまだ仕事があるから、あなたは先に寝なさい」安田翔平は淡々と佐藤若菜をちらりと見て、目で合図した。「でも……」佐藤若菜は少し不満そうに追いかけてきて、井口は安田翔平の指示を受けて、彼女を止めた。「佐藤さん、私についてきてください」屋敷内のエレベーターのドアが素早く閉まっていくに連れて、安田翔平の冷たい表情が見えなくなった。佐藤若菜は不満を抑えた。彼女が帰国した後、安田翔平の態度が変わったと薄々気がついた。つかず離れず。いくら考えても彼の意図が分からないのだった。書斎に戻った後、安田翔平はシャワーを浴び、バスローブに着替えた。手に持った書類をめくっても、内容がなかなか頭に入らなかった。いつものこの時なら、三井鈴が書斎にスープを届けてから寝室に戻って彼を待っているはずだった。彼が時々書斎で寝ることもあった。たまに寝室に戻っても、二人は別々ソファとベットで寝ていた。でも、彼女はスープを届ける習慣を変えたことはなかった。だが、今日はいくら待っても、何の物音も聞こえてこなかった。このいつもと違うことは、言葉で言い表せないほどの焦りをもたらした。携帯がブンブン鳴り、彼は手に取って点滅する「蘭雅人」という着信表示を見て、微かに眉をひそめ、先ほどの感情が何だったのかわからなかった。「社長、さっきドバイの医療展示会の責任者から電話がありました。安田グループは寄付金の割合が足りないため、参加資格が取り消されました」安田翔平の表情がすぐに暗くなった。これらのことはすべて三井鈴が担当していた