第31章 冷静もコミュニケーションも不要

三日後、市役所。

双方の弁護士が手続きの時間を約束し、三井鈴と安田翔平は約束通り現れた。

用紙を受け取り、三井鈴は迅速に記入し、一切の躊躇もなかった。それに対して安田翔平は、なかなか筆を進めなかった。

三井鈴は斜めに一瞥し、冷淡な声で言った。「安田社長、私は急いでいるんです」

催促され、安田翔平の顔色は沈み、すぐに用紙に記入し始めた。

用紙を記入し終えた二人は、それを窓口のスタッフに渡した。

「ちょっと待って」

安田翔平は離婚証明書に印が押される直前に、突然言った。

スタッフはすぐに手を止めた。彼女は朝一番の客が安田社の社長とその秘書だとは思わなかった！

結婚証明書を取りに来たのかと思ったら、もっと驚くべきことに――離婚だった！

安田翔平は三井鈴を見つめ、かつての高慢な態度で冷たい声で尋ねた。「本当に決心したのか？」

もしこの女性が今口を開けば、勝手に離婚を提案して去り、ドバイで彼に多くの費用をかけさせ、若菜に不快な思いをさせた……これらのことを一時的に忘れることができる。

彼は彼女にもう一度チャンスを与えるつもりだった。

「考えは非常に明確です」三井鈴は眉を動かし、赤い唇には軽蔑の笑みが浮かんでいた。「どうして？まだ私が冗談を言っていると思っているの？」

相手の態度がこれほどまでに固いのを見て、安田翔平は胸の中に抑えきれない怒りが湧き上がるのを感じた。

三井鈴が去ったこれらの日々、彼は二人が本当に座って話し合ったことがほとんどないことに気づいた。

彼の声は明らかに柔らかくなった。「冷静になる時間をあげるから、その後で私たちの結婚についてしっかり話し合おう。私たちの間には……確かにコミュニケーションが足りなかった」

安田翔平は少し間を置いてから続けた。「この三年間、君が安田社に貢献してくれたことはよくわかっている。考え直した。安田家と安田社の門はいつでも君のために開かれている」

言外の意味は明らかだった——彼は離婚したくないし、三井鈴にも辞めてほしくない。

「冷静になる必要も、話し合う必要もない」

三井鈴は安田翔平の暗く冷たい目を見つめ、冷たい決然とした声で、嘲笑するように言った。「以前は心臓を君に捧げようと思っていたけど、君はそれを見ようともしなかった。今さら理解しようとするなんて、遅すぎる」

「それに、若菜のお腹も大きく