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第92話

目を覚ましたとき、体が重たく感じた。里香は驚いてすぐに振り向いた。かおるの足が自分の上に乗っているのを見て、思わずほっとした。

一瞬雅之かと思ったのだ…

里香は頭を振って、あのクズ男のことを考えるのをやめた。

かおるの足をどけて、身支度を整えた。

簡単に朝食を作り、かおるを起こした。

かおるはぼんやりと座り、しばらく彼女を見つめた後、突然尋ねた。「昨晩のこと、覚えてる?」

里香は一瞬戸惑った。「何があったの?」

かおるはあくびをしながら、ベッドから降りて、昨晩の出来事を話した。

「東雲?」

話を聞いた里香は少し驚いた。

知らない人だ。

かおる「たぶん、通りかかった人で、親切な人だったんじゃないかな。もしまた会ったら、感謝しなきゃね」

「うん、そうだね」

里香は頷いた。

二人は朝食を食べ終え、一緒に出かけた。

すると、ちょうどマンションの入り口で東雲に出会った。

「東雲さん?」

かおるは目ざとく東雲を見つけ、声をかけた。

東雲はこちらを見たが、その視線は里香の顔にまっすぐ向けられていた。

かおるはすぐに意味深な笑みを浮かべ、「ほら、イケメンじゃないか!」と言った。

里香は彼女を軽く突いた後、東雲の前に歩み寄り、「昨晩のこと、ありがとう」と言った。

東雲は「小松さんを守るのは私の責任ですから、気にしないでください」と答えた。

里香は笑顔を見せ、「そんなことないよ、私が何があっても君には手を出す義務がないよ。やっぱり感謝するわ」

東雲は「それが私の責任です」と一点張りだ。

里香の笑顔は少し固まった。「そうか、ありがとうね。ご飯を奢るから。今日の昼間、時間ある?」

「ご飯などいらない」東雲は即座に断り、まっすぐ彼女を見つめて言った。「前に私は間違ったことをしました。ごめんなさい、許してください!」

そう言って、東雲は里香にお辞儀をして謝罪した。

里香は驚いて後ろに飛び退き、かおるの後ろに隠れた。

かおるも呆然とした。「あの…うちの里香ちゃんを知ってるの?」

東雲は「うん」と頷いた。

里香とかおるは顔を見合わせた。

里香「でも、私は見覚えがないわ」

東雲「私は東雲と申します」

呆れた。

一体何なの?

この人はもしかして馬鹿なのか。

早く立ち去らないと。

「えっと…私は仕事に行かなきゃ、先に行くね。さよう
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