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第78話

その頃、東雲の調査結果も届いた。

雅之はスマートフォンを開くと、何枚かの写真が表示された。写真には、里香と祐介が並んで道を歩いている様子や、一緒に朝食を食べているシーンが映っていた。

車内の空気が一気に冷たくなった。

雅之の顔色はますます冷たくなり、暗い目で近づいてくる二人を見つめた。二人は楽しそうに話していた。

こんな遅くに、里香は別荘で休むのではなく、祐介と一緒に朝食を食べに出かけているのか?

まだ離婚していないのに、もう別の男と仲良くしているのか?

一方、東雲の手元には別の写真もあった。それは、里香が追われていた様子や、髪を掴まれて暗い路地に引きずり込まれるシーン、そして祐介が里香を救った瞬間だった。

東雲はこれらの写真を雅之には送らなかった。必要ないと感じていた。

里香は雅之にふさわしくないし、同じ世界の人間ではない。早めに離婚した方がいい。夏実は雅之をずっと待っていたのだから、これ以上待たせることはできない。

東雲は無表情で、その写真を削除した。

「ありがとう、着いたよ」

マンションの下で、里香は祐介に微笑んだ。

祐介「上まで送ろうか?ここの治安はあまり良くないから、別の場所に引っ越すことを勧めるよ」

里香は首を振り、「大丈夫、今警察が彼を探しているから、もう来ないと思う。すぐに引っ越すつもりだから、その時は私の新しい家に遊びに来てね」と言った。

祐介は口元をほころばせ、「それは嬉しいな、俺が君を招待する最初の客になるの?」

里香は頷いて、「そうだよ」

祐介は「それは本当に光栄だ」と言った。

里香は手を伸ばして、「ペン持ってる?電話番号を教えて。新しいスマートフォンを買ったら、連絡するから」

里香のスマートフォンは壊れてしまった。さっきも祐介を食事に誘おうと思っていたのに、結局は祐介が支払ったので、恥ずかしかった。里香はこの食事は必ずお返ししなければならないと思った。

祐介は「ペンを持ってないけど、君の番号は覚えたから、後で電話するよ」

「いいよ」

里香は頷いた。

何か他に話そうとした瞬間、ふと気配を感じて振り向くと、遠くに雅之の長身の影が影の中に立っていた。

里香は一瞬驚き、心が沈んだ。

どうして彼がここにいるの?

祐介もその方向を見て、「やっぱり君は心配されているみたいだね。それじゃあ、先に行くよ
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