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第82話

里香は呆れた。

せっかくの6億が飛んでしまって、仕事を辞める勇気もなくなった。本当に腹が立つ!

かおるは里香の表情を見て、「あのクソ男は何て言ってたの?」と尋ねた。

里香は、「ろくでもないこと言ってるから気にしなくていい」と返した。

かおる「…」

里香はため息をつき、「今日は祝うどころじゃない、仕事に戻らないと」と言った。

かおるは目を瞬きさせ、「退職したんじゃなかったの?」と聞いた。

里香は皮肉な笑みを浮かべ、「6億もなくなったのに、退職なんてできるわけないでしょ?」と答えた。

かおるは、「可哀想に」と言った。

DKグループに戻ると、受付でちょうど誰かに呼び止められた。

「小松さん、荷物が届きました」

里香は驚いた。自分の荷物?誰が送ったの?

疑問に思いながら近づき、受け取ったのは非常にきれいな箱だった。軽く振ってみると、中は軽く、特に怪しい音はしなかった。

里香は箱を開けながらエレベーターの方へ向かい、ちょうどエレベーターが来たので、顔を上げずにそのまま中に入った。

視線を感じた。思わず顔を上げると、雅之が淡々とした表情で里香の横を通り過ぎていった。

「ちょっと待って!」

里香の顔色が変わった。

エレベーターの中には他の人もいて、その様子を見て驚き、里香の方を見ていた。その目は明らかに「この子、社長にそんなこと言って大丈夫?」と言っているようだった。

里香は他の人の視線を無視し、直接雅之の前に歩み寄った。「社長、お話したいことがあるのですが、ちょっとよろしいですか?」

雅之は「今忙しいんだ」と答えた。

強引なやり方をするしかないか?

雅之はそのまま立ち去ったが、里香はその場に立ち尽くし、荷物の箱を握りしめて、すっかり落ち込んでしまった。

自分の席に戻ると、マネージャーがすぐに近づいてきて、「里香さん、どうして仕事を辞めるの?社長が承認しなかったから良かったけど、マツモトとのプロジェクトはあなたが担当したものだし、契約の時、松本社長も君を担当として指名したんだから、もし君が辞めたら、このプロジェクトはどうなるの?」と言った。

里香は笑顔で「わかりました、しっかり仕事を続けます」と答えた。

少なくとも、このプロジェクトは最後までフォローしなければならない。

これも里香の心血を注いだもので、うまくいけばプロジェクトのボ
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