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第418話

「思い出した!あなた、私を助けてくれた人だよね!」

里香は星野の顔を見つめ、驚きと喜びが混ざった表情で言った。

星野は少し照れたように目を伏せ、控えめに微笑みながら「まあ......当然のことです。無事でよかった」と答えた。

「無事なのは、ほんとあなたのおかげ!」里香は勢いよく立ち上がって星野にぐっと近づき、「電話番号は?休みの日とかある?今度、ご飯でもご馳走させてよ!」と続けた。

思いがけず積極的な里香に、星野は少し驚きつつも、「いやいや、そんな、そんな必要ないです。本当に無事ならそれで......」と、やんわりと断るように言った。

そこにかおるがニコニコしながら近づいてきて、「ご飯くらい大したことないじゃない。遠慮しなくていいのよ。あなた、うちの里香ちゃんを助けてくれたんだから、私たちの恩人よ。これは私の名刺、今後何かあったらいつでも連絡して」と言って、さっと名刺を渡した。

星野は困惑した様子で名刺を受け取らざるを得なかった。

すると、かおるは周りを見渡して「皆さん、今日はここで解散でいいわよ。この人だけ残して」と言い、他の男性陣は徐々に退出して、個室には三人だけが残った。

かおるは星野に「まあまあ、緊張しないで座って。取って食べたりしないから」と冗談ぽく促した。

里香:「......」

星野:「......」

その言い方、悪女キャラかよ......

里香が「で、名前は?私は小松里香よ」と話しかけると、「星野信です」と彼は微笑んで返してくれた。

里香は手を差し出し、「ちゃんとお礼も言ってなかったわね。ほんとに、ありがとう」と素直に言った。

星野は控えめにその手を握り、「当然のことです。他の人でもきっと同じことをしたと思います」と答えた。

かおるがすかさず、「いやいや、普通の人なら見て見ぬふりか冷やかすだけでしょ?あなただから助けてくれたのよ。さあ、乾杯!」とグラスを差し出し、言うなり一気に飲み干した。

星野も急いでグラスを持ち、乾杯すると少し慌てながら飲み干した。

里香もグラスを持ち上げ、「私も乾杯。今後、何かあったら遠慮なく言ってね」と言ってから、笑顔で一気に飲んだ。

星野は軽くうなずいて「はい」と返事をし、またグラスを空けた。

かおるの盛り上げ上手な雰囲気のおかげで、気まずさはすっかり消え、三人は指拳ゲームを始めて盛り上
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