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第374話

雅之は冷たい声で言った。「彼女が僕を愛さない?じゃあ誰を愛するんだ?」

月宮:「......」

なんて自信だ。

でも、これ以上兄弟の自尊心を傷つけるわけにはいかない。もし自分まで巻き込まれたら困るしな。

そこで月宮はこう言った。「お前の言う通りだ。里香が愛したのはお前だけだ。でも、気をつけろよ。愛するかどうかは彼女が決めるんだ。お前じゃない」

雅之の顔色はさらに悪くなり、月宮の迷走トークを聞くのをやめて、電話を無言で切った。

ふん!里香が自分を愛さないなんてありえない。あの思い出が常に里香が自分を愛していたことを証明しているじゃないか!

里香は朝食を終えて家を出た。

服を着替えて階段を下りてくると、ダイニングには里香の姿はなかった。雅之は執事を見て、冷たい声で「彼女はどこに行った?」と問いかけた。

執事が「奥様は朝食を済ませてすぐに出かけられました」と答えると、雅之の美しい顔はさらに冷たくなった。

ちょうどその時、彼のスマホが鳴った。画面を見ると、由紀子からの電話だった。

雅之の目が冷たくなるが、それでも電話を取った。「もしもし、由紀子さん?」

由紀子の優しい声が聞こえてきた。「雅之、もうすぐおばあ様のお誕生日だけど、お祝いの準備はどうするつもり?」

雅之は答えた。「例年通りでいいです。今年もそのままやってください」

由紀子は「それでいいわね。ただ、その時は里香を連れて戻ってきてね。おばあ様は彼女が一番好きなんだから」と言った。

「分かりました」雅之は淡々と答え、すぐに電話を切った。

おばあちゃんの誕生日はあと半月後。雅之はしばらく考え込んでから、スマホを置き、家を出た。

里香は聡のオフィスに来て、ドアをノックした。

ちょうど誰かと話していた聡は、振り返ると里香を見て、驚きながら笑顔を見せた。「里香!」

里香は微笑んで言った。「決めたわ。広くて明るい大きなオフィスが欲しいの」

聡は喜び、「ちゃんと取っておいたよ。さあ、案内するから見に行こう!」と言った。

里香は頷き、聡に続いてオフィス内に入っていった。

その道すがら、聡はここで働くときの給料や待遇について話してくれた。建築デザイナーとして働く彼女にとって、稼げるかどうかは全て自分の実力次第だということも。

里香はそれを聞いて理解し、「よろしくお願いします」と即座に答えた
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