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第375話

聡:「嫌ですよ......」

すぐにスマホを置いて、顎を支えながら里香の仕事ぶりを見始めた。

さすが美人、ほんとに綺麗だな!

聡は舌打ちしながら首を横に振り、しばらくしてからまたスマホを手に取り、デリバリーを注文し始めた。

里香はもともと昼ご飯に何を食べるか考えていたが、休憩時間になると、すぐにデリバリーが届いた。

聡はオフィスから出てきて、にこにことしながら言った。「ご馳走するよ。新人は入社してから3日間、社長のおごりっていうのがうちのスタジオの伝統なんだ」

里香は少し困惑しながら、「でも、将来もしスタジオが大きくなって上場したら、おごりだけでかなりの額になるんじゃない?」

聡は肩をすくめ、「その時考えるさ。今はこういう伝統なんだよ!」

「そうだよ、社長は特に親切なんだ」

「この伝統はずっと続けてほしいね!」

他に3人の同僚もここ数日間でこのスタジオで働き始めた。

1人は里香と同じ建築デザイナーで、もう1人は業務連携担当、そしてもう1人は建築デザイン専攻で大学を卒業したばかりのインターン生だ。彼女はまだ何をするかはっきり決めていない。

聡は彼女をしばらくスタジオに置いて、3ヶ月のインターン期間が終わったら、彼女自身でどのポジションに就きたいかを決めさせるつもりだった。

聡はまるで素人のように、スタジオを遊びでやっているかのように軽々しく話した。

里香は特に何も言わず、聡に軽くうなずいて、「ありがとう、社長」

聡は腰をくねらせながら、「ゆっくり食べて、食べ終わったら少し休んでね。私は先に帰るから」

「はい」

みんなが声を揃えて応えた。

里香はデリバリーの箱を開け、食べ始めた。

その時、もう1人の建築デザイナーである横山羽奈がやってきた。彼女もデリバリーの箱を抱えながら、「ここでの仕事に慣れた?」と聞いてきた。

里香は軽くうなずいて、「まあ、いい感じかな」

羽奈は言った。「スタジオができたばかりだからか、全然案件が入ってこないんだよね。もう2日間も暇だよ」

里香は彼女を一瞥し、「自分で案件を探すこともできるよ。スタジオの立ち上げ時はそんなもんだよ」

羽奈はうなずきながら、「うん、探してみるよ。ところで、あなたはどう?何か考えはあるの?」

少し間を置いてから羽奈は尋ねた。「どうしてDKを辞めたの?」

里香は淡々とした表情
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