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第353話

くそっ!これじゃ逃げるしかない!

もうこれ以上ぐずぐずしていられないと思い、里香は全速で走り出した。

少し先にはまだ開いているコンビニがある、そこに行って警察に電話をすればいいんだ。

ちょうどその時、前方の角から二人の女子が歩いてきた。

里香の目が輝き、すぐに駆け寄って彼女たちの腕にしがみつき、にこにこしながら言った。「やっと来たの?待ってたんだから」

「あなた......」二人の女子は驚いた表情で彼女を見ると、里香は彼女たちにウインクをして、小声で言った。「誰かに追われてるの、助けてくれない?」

二人はそれを聞くと、急に緊張した表情になった。

一人が言った。「だからぐずぐずしてるからよ、私たちも外に出る時はメイクしなきゃいけないんだから」

もう一人も言った。「さぁ、あの食べ歩きの通りに行こう、美味しいものがいっぱいあるよ」

里香は「いいね、行こう行こう」と頷いた。

三人はまるで友達のように話しながら歩き始めた。曲がり角を過ぎた時、里香は後ろをちらっと見た。あの男は追いかけて来なかった。

その瞬間、里香はほっと大きなため息をついた。

「ありがとう」里香は二人の女子を見つめて言った。

一人が「気にしないで、早くここを離れよう。じゃないと、また追いかけて来るかもよ?」

もう一人も頷いて、「そうだよ、一人だと危ないよ。どうして警察に電話しなかったの?」

里香は苦笑いして、「スマホの充電が切れちゃって」

二人は再び彼女の腕を左右からしっかりと掴み、別の道へと歩いて行った。

しかし、歩いているうちに、里香は何かがおかしいと感じ始めた。

なんでこんなに寂しいところに向かってるの?

里香は直接尋ねた。「ここはどこなの?」

女子が答えた。「この道を通れば食べ歩き通りに行けるよ。向こうは人が多いし、安心でしょ」

もう一人も頷いて、「そうそう、行こうよ」と促した。

手のひらに突然冷や汗が浮かび上がった。里香は突然お腹を押さえて言った。「私、お腹が痛い」

二人は一瞬視線を交わし、里香をさらに奥へと引っ張って行った。

「あそこにトイレがあるから」

里香の顔は青ざめた。この二人は自分の考えを見抜いていた。彼女たちはあの男とグルだ!

しかし、その事実に気づいた時にはもう遅かった。あの男はいつの間にか道の先に現れ、冷たい目で里香を見つめていた。

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