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第341話

雅之はすぐ立ち上がって、里香を追いかける。その目には明らかに不満が浮かんでいた。

里香がドアを閉めようとした瞬間、雅之は強引に間に割り込んできた。

「何してんのよ?」

里香は警戒心むき出しで雅之を睨んだ。

雅之の背が高い体が部屋に入ってくると、空間が一気に狭く感じられた。彼は何も言わずに服を脱ぎ、そのままベッドに倒れ込んだ。

この部屋には寝室が二つあり、一つは里香の専用だった。ベッドには彼女の香りがふんわりと漂っていた。

雅之はそのまま目を閉じた。

「ちょっと、ここは私のベッドよ!」里香がすぐに声をあげる。

雅之はポンポンと横のスペースを叩き、「半分使っていいぞ」って感じで彼女を見た。

「はぁ?」里香は呆れた表情を浮かべた。こいつ、本当に何言ってんの?

ここは自分のベッドだし、彼にそんな権利はないはず。里香は近づき、雅之の腕を掴んで引き起こそうとした。

「起きてよ!ここにはあなたの寝る場所なんてないから。寝たいなら自分の家に帰りなさい!」

でも、雅之の体は重すぎて、里香ではびくともしなかった。逆に、彼が軽く引っ張っただけで、里香は雅之の上に倒れ込んでしまった。

驚いた里香の瞳は大きく見開かれた。反応する間もなく、雅之は素早く体を反転させ、里香をベッドに押し付けた。彼の熱い息が首筋にかかり、ゾクッとする感覚が走った。

「離して!」

里香の声は震えていた。

雅之の重みで息が詰まりそうだった。

「僕はただ寝たいだけだ。動いたら、寝かせる前に君を抱くぞ」

その言葉に、里香はビクリと動きを止め、呼吸も浅くなる。この男、本当にやりかねない!

でも、このままじゃ本当に息ができない。どうにかして里香は言葉を絞り出した。

「なら......自分で寝ればいいじゃない、もっと離れてよ」

「やだ」

雅之は短くそう言って、さらに力を入れて里香を抱きしめた。里香は呆れて無力感を覚えた。これじゃどうしようもない。

そして、雅之はそのまま本当に眠ってしまった。彼の均等な呼吸が、里香の肌に触れるたび、くすぐったくも不快な感覚が続いた。

そのうちに里香も眠りに落ちたが、夢の中で巨大な山のような重みで押しつぶされる夢を見て、最終的にはその重みで「死んで」しまうという悪夢にうなされた。

目が覚めた瞬間、里香は驚いて叫んだ。

「正気なの?」

雅之は冷
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