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第129話

里香は顔を上げて、祐介に微笑んだ。「ちょうどかおるを見つけたところで、今帰るところなの」

祐介はすかさず言った。「それならちょうどいい、送っていくよ」

里香は軽く首を振りながら、「いや、大丈夫。もうタクシー呼んだから、ありがとうね」と返した。

すると、かおるがすかさず言った。「タクシーなんてキャンセルできるし、せっかくだから喜多野さんに送ってもらおうよ!喜多野さん、ありがとうございます」

祐介は少し悪戯っぽい笑みを浮かべ、「かおるがそう言うなら、断れるかい?」とからかうように言った。

里香は無力そうにかおるをチラリと見たが、かおるは彼女にウインクし、何かを企んでいるような表情を浮かべた。

結局、里香は祐介の車に乗ることにした。

里香は窓際に寄りかかり、外の夜景をじっと見つめながら、ぼんやりと考え込んでいた。

祐介は運転しながらバックミラー越しに里香を一瞥し、「何かあったのか?もし手助けできることがあれば、話してくれないか?」と尋ねた。

すると、かおるが考え込んだ末に思い切って言った。「祐介さん、信頼できる弁護士を知ってる?特に離婚訴訟に強い人」

「かおる!」

里香は驚いて、すぐにかおるの手を握りしめ、「そんなこと、今は考えてないから」と言った。

かおるは彼女を見つめ、何か言いたげだった。

祐介は低く笑って、「もちろん知ってるよ。必要なら、紹介するから」と返事をした。

里香は微笑んで、「ありがとう」とだけ答えた。

かおるは隣で無力にため息をついた。

こんな状況なのに、他の人に頼るのもいいじゃないか。毎日あのクズ男の顔を見なくちゃいけないのか?

里香は目を閉じて、何も言わず、そのまま眠りに落ちてしまった。

再び目を覚ましたとき、車はすでにカエデビルの近くに停まっていた。かおるの姿はもう車の中になく、里香の肩には祐介のジャケットがかけられていた。

驚いた里香は、「かおるはどこ?」と尋ねた。

祐介は「もう帰ったよ」と返した。

里香は少し頭痛を感じ、顔に少し恥ずかしそうな表情を浮かべながら、「ごめんね、寝ちゃって迷惑かけた?」と聞いた。

祐介は微笑んで、「いや、大丈夫。たいしたことじゃないよ」と答えた。

「じゃあ、先に帰るね。今度ご飯でもご馳走するよ」

「里香」

祐介は彼女の名前を呼んだ。

里香は疑問の目で彼を見て、「どうし
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