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第119話

里香は目を閉じ、柔らかい声でふと呟いた。「わかった、もう離婚しないから。まずは起き上がって、酔い覚ましのスープを作るわ」

雅之はその言葉に反応し、里香を見上げた。彼女の言葉が本当かどうか、じっと確かめるように見つめていた。

里香もまた、雅之を静かに見返していた。

少しの間があった後、雅之は鼻先を彼女の鼻先に軽く擦り寄せて、「本当に離婚しないの?」と尋ねた。

「うん」

里香は心の動揺を必死に抑え、冷静さを保とうと努めた。

雅之はほっとした様子を見せ、ようやく里香を解放した。

里香は立ち上がり、キッチンに向かって歩き出した。

雅之は手で眉間を押さえていた。

「酔い覚ましのスープができたよ」

その時、里香の声が聞こえてきた。

雅之は驚いて一瞬動きを止めた。こんなに早く?

顔を上げたその瞬間、冷たい水が雅之にかかってきた。

雅之は目をぎゅっと閉じたまま、冷たい水が体を伝ってソファやカーペットを濡らすのをただ受け入れた。

里香は冷たく言った。「目、覚めた?」

酔っ払ってここに来て大暴れして、何事もなかったかのように振る舞えば許されると思ってるの?雅之が言ったこと、里香はすべて覚えているんだから!

雅之はまるで時間が止まったかのように動かず、水の雫が彼の顔や髪から滴り落ちていた。

不思議と、里香の心の中に不安が広がっていった。

里香は盆を手に取り振り返り、リビングに座る雅之を後にしようとした。

だが、その瞬間、背後から風が吹き抜け、里香は抱き上げられ、空中に浮かんだ。驚いて声を上げた瞬間、雅之の唇が里香の唇に重なった。

盆は床に落ち、「ガン」と音を立てた。

里香はすぐに抵抗し始めた。「うっ…あなた、正気なの?」

雅之は強引にキスを続け、彼女をじっと見つめた。そのまつげにはまだ水滴がついていた。

雅之は全身びしょ濡れのまま、しっかりと里香を抱きしめ、そのせいで里香も濡れてしまった。

そして、最後には、里香はベッドに投げられた。

里香はすぐに起き上がって逃げようとしたが、雅之は素早く彼女の腰を掴み、引き戻した。

「雅之、放して!」

里香は驚いて叫んだが、次の瞬間、雅之にひっくり返され、顎を掴まれた。熱い息が里香を覆いかぶさった。

里香の息と声は完全に封じ込められた。

抵抗するも、雅之は容赦なく里香の足を開いた。

濡れた服と
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