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第113話

「孫嫁!」

二宮おばあさんは、まるで突然思い出したかのように、嬉しそうに手を伸ばして言った。「どこに行ってたの?私と遊びたくなかったの?」

里香は近づいて、彼女の手を握りながら答えた。「そんなことないよ。私たち、前に約束したじゃない?私が隠れて、あなたが彼を叱るって」

二宮おばあさんは一瞬ぼんやりした顔をした後、頷いた。「そうそう、雅之があなたをいじめたから、私がしっかり叱っておいたよ」

雅之は冷たい目で里香を見つめながら言った。「祖母に告げ口したのか?」

里香は軽く眉を上げ、「どうしたの?それがいけないの?」と軽く応じた。

雅之の表情はますます暗くなった。

その時、二宮おばあさんは遠慮なく雅之を軽く叩き、「さっき言ったばかりでしょ。どうして嫁を睨むの?」とたしなめた。

雅之:「…」

里香は二宮おばあさんに微笑みかけ、「おばあちゃん、本当に私に優しいですね」と言った。

二宮おばあさんはにこにこしながら、「私はあなたが大好きだから、もちろん優しくするわよ。あ、これ、使用人が新しく作ったお菓子よ。とても美味しいから、食べてみて」と言いながら、お菓子を里香の口元に差し出した。

その言葉を聞いて、里香は一瞬驚き、思わず夏実の方を見ました。すると、彼女の顔色が少し青ざめていることに気付いた。

里香は「ありがとう、おばあちゃん」と言って、お菓子を受け取った。

「早く食べて。好きなんでしょ?これからも使用人にどんどん作らせるから。大丈夫、使用人の給料もちゃんと上げるつもりよ!」と、二宮おばあさんは満足そうに里香を見つめた。

里香は一瞬言葉に詰まったが、お菓子を一口食べて頷いた。「本当に美味しいです」

二宮おばあさんは笑顔で夏実を見て、「孫嫁もこのお菓子が好きなんだから、これからもたくさん作ってね」と言った。

夏実は無理に笑顔を作り、「ええ…」とだけ答えた。

心の中では腹立たしさでいっぱいだった。一生懸命作ったお菓子で二宮おばあさんを喜ばせようとしたのに、まるで使用人のように扱われるなんて…

「おばあちゃん、夏実は使用人じゃないんだよ」

雅之が静かに言った。

二宮おばあさんは瞬きをしながら、「じゃあ、この子は誰なの?」と尋ねた。

里香も雅之を見つめ、その瞳には軽い嘲笑が浮かんでいった。

雅之が夏実の立場をどう説明するのか、興味津々で見守っ
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