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第3話

母は私が勉強に専念できるよう、あまり気にしないようにしていた。

でも、私は前世で既にその未来の知識を得ていたから今は父の浮気の証拠を集め、彼を家から追い出し母が傷つくのを防ぐことだけが頭にあった。

私は母のために弁護士を探した。しかし、相談の過程で気づいたことがあった。母は父と離婚する意思はあるが、彼に財産を一切渡さない決意はないらしい。

「彼とは長年一緒にいたから」

「私が忙しすぎて、彼の気持ちを無視していたから、別の女性に走ったのかもしれない」

「少し財産を分けてあげるのも、彼への償いだと思う」

母は前から父の浮気を知っていたが、私たちが片親の家庭で育つのを避けたい一心で今まで離婚を引き延ばしていたらしい。

彼女は、父が自分に少しでも優しくしてくれるうちは、まだ心のどこかに愛が残っていると思いただ夫婦としてはもう無理だと感じていた。

だが、母は知らなかった。父が優しくしていたのは、まだ家族の財産をすべて手に入れていなかったからだった。

彼は母と離婚できない。なぜなら、離婚すれば何も得られなくなるからだ。

母はさらに知らない、この人が金のために彼女を殺害するつもりだということを。

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