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第5話

子供の頃、試験でわざと悪い成績をとったり、他の人と口喧嘩をしたりしていた。こういう時だけは、両親は私の所に戻ってきて、わずかな愛を与えてくれた。

でも、そのうち期待しなくなった。

誕生日当日には、またひとつ年をとったことを祝ってプレゼントを自分で買った。保護者会があるときには、何かあれば直接電話で連絡できるように、両親の電話番号を先生に教えた。

徹之に出会うまで、私はこうして孤独に育った。

親が学校に姿を現さなかったため、私が親のいない孤児だと噂されていた。

ある日の放課後、いきなり凶悪な人たちに目の前で呼び止められ、生活費をすべて渡せと要求された。

その時徹之が現れた。

彼は私に降りかかろうとする拳を止め、私の前に出て、その人たちを見た。

「数人で一人の少女をいじめるなんて、恥を知れ」

そいつらが散った後、私の前に立った少年に目をやると、彼の顔はとてもハンサムで、あごから汗が数滴落ち、きらきらとした光を放っていた。

そして彼は私を見て言った。

「大丈夫?」

私は彼に一目惚れした。

最初は勇気がなくて、ただ小声でお礼を言った。

「大丈夫、ありがとう」

私は慌てて家へ走った。

それからというもの、私は徹之のことを気にするようになった。

彼にとても親しい幼馴染がいることは知っていたが、2人の関係は幼馴染だけで止まっているようだった。

それ以上踏み込むつもりはなかったようだ。

好きな人でも、心の底では表現しない人がいることが、あの時の私には分からない。

ただ年少の時のひそかな片思いを知って、いつも冷静を装っていたが、実は心の底ですでに広がっていて、全ての心を占拠した。

だからその後、彼と偶然出会った時でも、私の心はドキドキして、赤面してしまい、頭を下げることしかできなかった。

ただ、私たち二人の将来の婚姻は、私たち次第でどうにもできないことは分かっていた。

だからこそ、結婚相手が彼だとわかったとき、私はすごく嬉しかった。

私の両親も、徹之をとても気に入って、私に連絡するよりも先に彼に連絡するのが普通だった。

前世では、徹之に離婚を申し込んでも、当然のように拒否された。

両親は私を失望した目で見て、「徹之は優れた能力を持っていて、会社の経営もうまくいっている。他のことは何も差し支えない!離婚なんて、どうかしてる」

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