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第2話

彼らの姿が完全に消えてから、私は慌てて助かる方法を探そうとした。

クルーザーには水が入ってきていたが、中のいろいろなものを使うことができだ。

どんどん水が増えていくのを見て、急いでクルーザーの中に入り、浮き輪と救命胴衣を見つけた。

前世では泳げなかったし、海で遊んだこともないので、浮き輪をいくつか用意した。

それが今、役に立っていた。

浮き輪を全部手に入れると、慌てて救命胴衣を着て浮き輪に空気を入れ、自分の体を入れた。

そして、わずかに残っていたチョコレートとミネラルウォーターを見つけた。クルーザーが完全に溺れてしまうと、私は深呼吸をして海岸に向かって泳ぎ始めた。

深海とはいえ、近くには漁師がよく漁に来ているので、人里離れた場所ではないし、漁船に出会えさえすれば救われる。

ただ、今は深夜で、漁船が近くにあったとしても、漁船のエンジン音がうるさすぎて、私の助けを求める叫びが聞こえる人がほとんどいないのが残念だ。

あきらめずに岸に向かって一生懸命泳いだ。

日中は雲ひとつなかった空がどんより曇り始めた。

前世もそうだった、やがてどしゃ降りの雨が降ったせいで救助が難しくなり、結果的に美月を救うことができなかった。

しかし今度は、見渡す限りの海を見ながら、私はさらに一生懸命泳いだ。

1時間近く泳いだところで、ようやく前方に一つのクルーザーがゆらゆらと浮かんでいるのが見えた。

私はとっさに手を挙げ、クルーザーの中の人に向かって叫んだ。

「助けて! 誰か! 助けて、助けて......」

私の声はますます大きくなり、空から雨粒が落ち始めた。最初は小さな雫だったが、数分後には徐々に土砂降りの雨に変わった。

クルーザーは遠ざかっていた。私は突然の絶望感に襲われたが、それでも叫ぶことを諦めなかった。

「誰か、助けて!」

絶望の淵に立たされそうになったとき、突然、クルーザーの中に一人の男が現れて、懐中電灯で海面を照らした。

私の声が聞こえたのだ!

私は助かった!

ほとんど瞬時に、大きな喜びが胸を満たし、私は急いで懐中電灯の光に向かって泳いだ。

「助けて、助けて、助けて!」

最後の力を振り絞り、クルーザーの横まで泳ぎ着くと、すぐに梯子が下ろされた。上に登っていく途中で何度も力が抜けて落ちそうになった。

クルーザーに乗り込んだ瞬間、私は力の衰えからすぐに甲板に向かって膝をついたが、甲板に触れようとした瞬間、力強い両手に抱き上げられた。

「大丈夫?」

私はフウッと息を吐いた。

「大丈夫、本当にありがとう」

長時間の運動で、私は力が出なかったので、彼にすっぽり縋った。

男は私を見て顔をしかめると、そのまま私を抱き上げると、クルーザーの内部に向かって歩き出した。

彼は私を中の部屋に運び、着替えを取り出した。

「びしょ濡れだから、まず着替えて」

「うーん、ありがとう」

服を着替えた後、ドアをノックする音がした。私はドアを開けた。

入ってきた男の手には蕎麦があった。彼は蕎麦をテーブルに置き、私に味見をするよう合図した。

その時初めてその男の顔を見た。立体的な顔立ちで、軍人のようで、凛として見えた。

ただ、あまりにお腹が空いていたので、蕎麦を食べ終わってから彼に話しかけた。

「どうも、鈴木直子です、助けてくれて本当にありがとう」

宮本貴俊は私の濡れかけた髪と、手の小さな傷に目をやった。

「髪を拭いて、傷に包帯を巻いてあげるよ」

私は不思議に思った。

「え、どうして」

「海にはバクテリアがいるから、殺菌が間に合わないと感染する可能性があるんだ」

「そうだね、わかった、ありがとう」

そう言うと、彼はタオルを私の頭にかぶせてそっと拭き、そして傷口に丁寧に擦りつけた。

唇を噛み締めながら、彼が私の髪を拭く様子を見て、心が急に温かくなった。

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