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第008話

「おかけになった電話は、お出になりません。しばらくしてからおかけ直しください......」

何度目か分からない。陸川蓮の電話は相変わらず繋がらないままだった。私はベッドの上で丸くなり、暗い画面のスマホをぼんやりと見つめていた。

この半月ほど陸川蓮と過ごした記憶が頭から離れず、心の中がどうしようもなく複雑だった。

この数日の出来事だけで、私が本当に陸川蓮を好きになったなんてことは、さすがに無理がある。

でも、この短い間に起こった出来事があまりにも深く、強烈だった。

病院の廊下で、思わず抱きしめた瞬間。彼の唇が私に触れた時の熱。

そして、いつも陸川蓮が私を見る時の、冷静な中にも隠しきれない愛情を感じさせる眼差し。

そのすべてが、私には何もなかったことにできなかった。

私は思わず過去を振り返り、以前の私と彼の間に何かあったのか思い出そうとした。

でも、私の記憶力は決して良いとは言えず、昨日食べたものさえもすぐに忘れてしまうほどだ。

そんな私が、陸川蓮に関する昔の記憶を思い出すなんて、無理な話だろう。

でも、別れの日、陸川蓮が私を見つめていたあの悲しそうな、絶望に満ちた表情。それが私の心に影を落とした。

「蓮、今どこにいるの?」

私は寝返りを打ちながら、ぼそりと呟いた。

どうして電話に出ないの?

私がベッドの上で寝返りを打っていると、ルームメイトがベッドの手すりを軽く叩いた。

「志織ちゃん」彼女は困ったような表情で私を見上げながら言った。

「これ、見たほうがいいかも......」

ルームメイトはスマホを掲げ、画面には学校の掲示板の最新の投稿が表示されていた。

「えっ、これってコンピュータ学部の陸川先輩じゃない?酔っ払ってるのかな?」

写真には、陸川蓮が一人で学校の人工湖のほとりに座っている姿が映っていた。周りにはたくさんの空き瓶が散らばっている。

少しぼやけた写真では、前髪が額にかかり、湖のほとりでじっと月を見上げている彼の姿が捉えられていた。

「やばい、酔っ払ってる陸川蓮、めちゃくちゃかっこいいじゃん。まさに美人が酔うって感じ」

「いや、ちょっと待てよ。そんな場合じゃないだろ?誰か近くにいる人、彼を引き上げてくれない?酔いすぎて湖に落ちたりしたらどうするんだよ」

「これは先生が彼のことを見たら、もう爆発するだろうな」

「大
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