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第005話

あの日以来、私は陸川蓮の様子がどこかおかしいことに気づき、彼が不安を感じているんだと思った。

だから、もう一度彼に「一緒に引っ越そう」と提案した。

陸川蓮は最初反対していたけど、私があまりにも強く主張するので、ついに折れてくれた。

それから、私は大喜びで陸川蓮を連れまわして、理想の物件を探し始めた。

「ねえ、蓮くん、さっき見た物件、日当たりはすごく良かったよね。ただ、ちょっと階数が高いかな」

「昨日見たところは1階で便利だけど、家賃がちょっと高すぎるよね」

私は少し悩んでしまった。私たちはまだ学生だから、予算や条件をよく考えないといけない。

「実は......」

陸川蓮は唇を少し噛んでから、私を見て言った。「学校の近くに僕の家があるんだ」

私は目を大きく見開いた。「えっ、何?」

「僕が大学に合格した時に、両親が学校の近くに家を買ってくれたんだ」

私は風に吹かれてしばらく混乱し、やっとのことで悲しげに言った。「もう、金持ちには勝てないよ......」

陸川蓮は小さく笑って、「大丈夫、僕のものは全部君のものだよ」

「その家はずっと掃除してくれてる人がいるから、今日すぐにでも引っ越せるよ」彼は一瞬言葉を切ってから、付け加えた。「君が嫌じゃなければ、だけど」

私は首を振りまくった。「もちろん嫌じゃない!」

「じゃあ、荷物を寮に取りに行こう」陸川蓮は優しく言った。

「うん!」

私は陸川蓮を引っ張りながら寮に向かって歩いていたが、突然、バッグの中で携帯の着信音が鳴り始めた。仕方なく、私は携帯を取り出した。

「もしもし?どうしたの、お母さん?」

電話の向こうからは、母の焦りと心配が入り混じった声が聞こえてきた。

「あなたね、どうしてこんな大事なこと、家に一言も言わないの?事故にあったって聞いて、記憶に問題があるって聞いて、お父さんと二人でどれだけ心配したと思うの!」

私は一瞬ドキッとした。なぜ突然、両親がこんなことを知っているんだろう?

すぐに心当たりが浮かんだ。藤木悠馬、あんた以外に誰がこんなことを告げ口するんだ!

「お父さん、お母さん、心配しないで」私は歯を食いしばりつつ、声を落ち着けて答えた。「本当にもう大丈夫だから。お医者さんも言ってたけど、記憶の問題は一時的なもので......」

「言い訳はもういいわ。お父さんと一緒に、今
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