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親友と同時に離婚した後、二人の男同士が後悔した
親友と同時に離婚した後、二人の男同士が後悔した
著者: 小刺剛毅

第1話

まるまる一週間ずっと顔を出さなかった婚約者の照月成喜がついに電話をかけてきた。

電話に出たとたんに、ガミガミと叱られた。

「まゆみ、お前一体なんのつもりだ!? 家族はもう結婚式の場所と時間を決めたのに、今さらお前のわがままで婚約中止にするなんて、どういうつもりなんだ⁉」

口を開けようとした瞬間、機関砲のような罵りに言葉を遮られた。

「何回も言っていたはずだろう。柔子は体が弱いから、一回の風邪でも命に関わるんだ。だから、安全確保のために、俺が彼女のすぐそばにいなければいけない。どんだけ嫉妬好きなんだ、お前は。 全然人の命を気にしないんだな」

「人の命」って......皮肉な笑いがやむを得ず漏れた。

昨夜、一人で結婚式の支度に出かけたが、帰り道で失速しているトラックにはねられた。

意識を失う前の私は必死で成喜に電話をかけていた。結局、冷やかした話し声しか残されなかった。

着信拒否は、二回だった。

意識を失ったあと、血だらけのスクーリングにやっとメッセージが届いた。

イラついた成喜は、ようやく一通のlineメッセージを送ってきた。

「どうした。言え」

返事がすぐに返ってこないので、彼はもう一通私にメッセージを送った。

「お前はどういうつもりなんだ!?こんな時に限って、柔子を看病するのを邪魔してきたのか。柔子は体調を崩すと命が危険にさらされること、お前は知ってるはずだよね」

目が覚めるまで、彼はずっと𠮟っている。

真紀が病室に入って、突然私の携帯を奪った。

「成喜、あんた頭おかしいんじゃないの!?昨夜まゆみは交通事故にあったのよ!加害者に二回も悪意のある轢かれ方をされて、早急に病院に搬送されなかったら、亡くなってたかもしれないのよ!?あんたはただの風邪と事故の重さの違いが分からないの?」

電話の向こう側で、成喜は皮肉な笑い声を漏らした。

「専門医師の前でそんな噓をつくのか。真紀、お前はお前たちのIQを過剰評価し過ぎだ」と言って、電話を切った。

私達の電話の会話を聞いた真紀は、電話を握りながら、憤っている。

だが、私が彼女をなだめる前に、彼女の携帯が鳴り始めた。

真紀の婚約者の中村博だった。彼は成喜の幼馴染でもあった。

「真紀、お前らはいったい何やってんだ!?お前らが嫉妬したり、噓ついたりしているせいで、柔子が病気になりそうだ」

「もし俺と成喜がここにいなかったら、柔子は今頃どうなってたと思う。お前らはこの生き生きとした命を見られないのか!?我々中村家にはお前みたいな毒蛇のような女性なんていない!この結婚はお前の好きにしろ」

真紀が、怒りを口に出す前に、博は電話を切った。

「くそ!!この野郎」

私は全力で彼女の手を阻んでだ。

「怒らないでね、真紀ちゃん、あいつらのために怒る必要なんてない」

私の体に繋がれている機械を見た真紀の目からは、涙が溢れている。

「まゆみちゃん、まだ痛むよね」と心配された。

私は笑いながら、首を横に振った。

もう痛くはない。

成喜が電話を切った頃には、痛みは足りる。

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