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第8話

「伶、一課に来てくれ。ちょっと見てもらいたいものがある」

伶は疲れ果てた顔で、警視庁に現れた。

捜査一課の課長が、届いたばかりの包裹を取り出した。

「誰が送ったものかは不明だが、中には絵が一枚だけ入っていた」

「どうも、あなたが描いたものに見えるんだ」

伶はようやく瞼を上げ、絵に視線を向けた瞬間、完全に固まった。

「この絵……誰が送ったんだ!」

課長は首を横に振りながら言った。

「分からない。配達員に問い合わせたが、誰が送ったかは知らないそうだし、発送元も不明なんだ」

「我々は、犯人の目的がこの絵と関係していると疑っている」

「だが調べてみたところ、わかったのはこの絵には幼い言花が描かれていたことだけ。彼女の両親についても情報が全くない」

「そのため、上層部に報告して、秘密扱いの記録を閲覧する許可を申請した」

通常、両親の情報が記録にない場合、二つの可能性が考えられる。

一つは、彼らが外国人であること。

二つ目は、彼女の両親が国家関係者であることだ。

その場合、次世代の保護のために、記録は完全に機密扱いになる。

伶は自分で深く考えることも、犯人がなぜ彼に私の肖像画を描かせようとしたのかも、怖くて考えられなかった。

そしてついに上層部から閲覧許可が下りた。

皆がパソコンの前に集まり、「言花」の名前を入力すると、二枚の見慣れない写真が表示された。

課長が厳粛な表情で言った。

「麻薬取締警察官、天満安司、天満宮花」

それは私の両親の名前だった。

しかし、末尾にはこう表示されていた。

「2008年、全員殉職」

その知らせが伝わると、警視庁内は静まり返った。

2008年の激動を知らない者などいなかったからだ。

六名の麻薬取締警察官が、敵の本拠地に潜入し、八年間の潜伏の末、最大の麻薬取引拠点を一掃した事件だった。

だが、その六名の警察官は、この事件の中で全員が殉職と発表された。

ただ誰も知らなかったのは、その六名の警察官の中に、母親となった警察官が一人いたということ。

彼女が任務に向かう時、子供はまだ一歳にも満たなかった。

伶は、その二枚の写真を見つめ、真実を知った瞬間、完全に壊れてしまった。

私の遺体を抱きしめ、泣き崩れて離れようとしなかったため、最後には医者が鎮静剤を注射し、ようやく眠りについた。

目を覚ました
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