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第3話

だが思いもよらなかった。死後も魂の形でこの世に残るとは。

そして、伶が私の遺体を検査する姿を目の当たりにした。

彼はまるでゴミでも確認するように、冷淡に私の遺体を扱った。

最後には一瞥すら惜しみ、冷淡に背を向けた。

「何か情報があったら知らせてくれ」

「夜に用事があるから、先に行く」

伶の友人である法医学者が、彼と一緒に去る時にバッグから2つの結婚祝いのキャンディボックスを取り出した。

微笑みを浮かべながら言った。

「俺、もうすぐ結婚するんだ。これ、お祝いのキャンディだ」

「言花はいつもキャンディが欲しいって言ってたからな。会えないから、これを彼女に渡してくれないか?祝福だって伝えてくれ」

友人の言葉を聞いた瞬間、伶の顔色が微妙に変わった。

友人の笑みがぎこちなくなり、少し気まずそうに尋ねた。

「おい、お前、まだ天満と仲直りしてないのか?」

「もう半月以上経ってるだろ?」

伶は足を止め、呼吸も少し荒くなった。

「彼女の話はよせ」

彼は怒りを感じさせるように背を向けて去り、最後には手に持っていたキャンディを見つめ、悔しそうにゴミ箱に投げ捨てた。

私はただ、その捨てられたキャンディがもったいなく思えた。

ゴミ箱に落ちたキャンディを見つめながら、もう食べられないのか……と少し寂しく感じた。

魂のまま、伶を追って病院へと漂い、ガラス越しに見える中年の女性の姿を眺めた。

彼女は呼吸器をつけて、病床に横たわっていた。

私は口を押さえて、静かに泣き始めた。

実際、私は伶との問題が簡単に解決できるものではないと分かっている。

彼が私を恨むのは、私が彼の母親を病院送りにしたからだ。

今も彼女は集中治療室に横たわったまま。

半月前、伶が事件に巻き込まれた直後のことだった。

警察が彼と友音を送り届けたその日、彼の母親は私のためにウェディングドレスを選びに行っていた。

私と伶の結婚式は翌月の8日に決まっていて、それは彼の母親が縁起の良い日として選んでくれた日だった。

だが、家に帰る途中、突然1台の車が何の前触れもなく私たちに突っ込んできた。

その瞬間、私は何も反応できなかったが、伶の母親は私を抱きしめ、かばってくれた。

その事故で彼女は重傷を負い、病院に運ばれた時には命の危機に瀕していた。

ようやく到着した伶は、怒りのままに私の衣服をつかんで地面に押し倒した。

「どうして母さんを連れ回したんだ!」

「お前が母さんを引き回さなければ、事故になんて遭わなかったはずだ!」

「もし母さんがこのまま死んだら……俺は一生お前を許さない!」

そう、自分の母親を傷つけた女を許せるはずがなかった。

私は痛みをこらえながら立ち上がり、伶に赦しを求めるつもりはなかった。

だが彼の母が私を守ろうとして負った傷なのだから、せめて彼女が無事であることだけを確かめさせてほしかった。

「ここにいたい。おばさんが元気になるのを見届けたら、すぐに出て行くから……」

しかし、伶は私にチャンスを与えなかった。

「この偽善者!お前なんか母さんに会う資格はない」

その夜、私は病院の外で一晩中待ち続け、翌朝に彼の母親が集中治療室に入る姿を見届けて、ようやく安心して帰った。

帰る前、私は友音が伶を抱きしめ、彼を優しく慰める姿を見た。

「大丈夫よ、きっと大丈夫だから」

「私がそばにいるから、伶。ずっといるわ……」

私はその場を離れ、彼らの邪魔をしないようにした。

その事故以来、私はずっと罪悪感に苛まれていた。

夜な夜な、あの事故の瞬間に戻る悪夢を見ては、息が詰まるような後悔と悲しみに押し潰されそうになった。

すべては私のせいだと思っていた。

私が母を巻き込んでしまったと考え、自分を責めていた。

だから、彼の母が入院している間も、私はこっそりとしか見舞いに行けなかった。

だが、犯人に捕まってから分かったことがあった。

伶と友音が行方不明になっていたあの期間、彼は友音のために犯人に私の似顔絵を渡していたこと。

もし伶が自分の行為が母親を害した一因だと知ったら、彼は自分を許せるだろうか?

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