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第4話

テレビ電話だ。そして、なんとその電話のアイコンには、さっきの写真の少女が映し出されていた!

男は一瞬固まってしまい、震える手で何度も誤って画面をタッチしてしまい、結局は桜井警官が代わりに電話に出た。

「お兄ちゃん!」

電話の向こうで、少女が焦った様子で話し出す。「ごめんなさい!心配かけちゃったね。友達と一緒にいたんだけど、スマホがショッピングモールで盗まれちゃって、でも警察の人がすぐ見つけてくれて、もうすぐ帰るね!」

男は悲しみから一転して喜びに包まれ、そのまま気を失ってしまった。

傍らにいた警官は、メモを投げ捨て、慌てて彼の鼻の下をつまんだ。

少女は驚きで顔を真っ青にし、「お兄ちゃん!どうしたの?どこにいるの?」と慌てふためいている。

「すみません、実はこういうことなんです」

桜井警官は電話を拾い上げ、簡単に事情を説明した。

「そうだったんですか......警察の皆さん、本当にお手数をおかけしました」

少女は少し恐縮しながら話したが、男はすぐに意識を取り戻し、他のことはお構いなしに嬉しそうに家に向かって走り出した。

「いやはや、びっくりさせられたな」

桜井警官は彼が消えていく姿を見送りながら、複雑な表情を浮かべていた。

刑事として事件の解決は望んでいるが、同時に家族が壊れていくのを見るのも望ましくはない。

私の胸の奥では痛みが激しくうずいていた。

両親を早くに亡くし、三歳から兄と二人きりで生きてきた。

兄はこの世で唯一私が大切に思う存在だった。

けれども今、兄は私を自分の手で引き裂きたいほど憎んでいて、何も信じようとしない......

「桐生さん!」

無言で立ち去ろうとする兄を見て、桜井警官が呼び止めた。

しばらく言葉を選んでいたが、ついに切り出した。「いっそのこと実家に戻って朱理ちゃんを探してみたらどうだ?

もう一週間以上連絡が取れないんだし、何があっても、法的にはお前が唯一の親族だ

彼女の借金が信用情報に影響してる。それが続けば、お前の仕事にも影響が出るぞ」

そうだ、桜井警官は今度は別の角度から話を進めた。

だが、兄は馬鹿ではない。

彼の視線は桜井警官を冷たく睨みつけ、憎しみさえ感じられた。「忠告しておく、あのクズ女に会わせようとするな!

仕事なんかどうでもいい。

クビにされても構わない!」

その時の兄の
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