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第 0095 話

瑠璃はその場で怯んだが、隼人の声が背後から聞こえてきた。

「さっき誰かが君秋に輸血したって?その女はどこですか?」

「そちらです」

看護師の返答を聞き、瑠璃は急いで非常階段に逃げ込んだ。

隼人が自分の血を嫌悪するかもしれないと思い、彼女はそれを隠したかった。でも、今は君秋を助けることが一番大事だった。

角に隠れ、隼人の捜索する姿が通り過ぎるのをじっと見ていた。体の痛みと輸血後の冷えが彼女を襲い、その場で縮こまり、隼人が遠ざかっていくのを見届けながら、意識が薄れていった。

次に目を覚ました時には、すでに翌日になっており、足は痺れていた。壁に手をついて立ち上がり、痛む体を引きずって君秋の様子を確認しようとしたが、廊下で蛍が電話をかけながら近づいてくるのを目にした。

瑠璃は急いで身を引いて、ドアの陰に隠れた。

蛍の怒りの声が聞こえてきた。「あのガキに輸血しやがった女、どこの誰だか知らないけど、死んでくれればよかったのに。そうすれば隼人は瑠璃を絶対に許さないのに!

「そのガキ、邪魔なだけだわ。役に立つから生かしてるけど、2年前に死んでてもおかしくなかったのに」

その言葉に、瑠璃は息を呑んだ。

これが母親の言葉だというのか?君秋は隼人と蛍の息子だというのに、自分の利益のために息子の命を軽んじているなんて!

この女、人間じゃない!

瑠璃は怒りが抑えられず、思わず出てきてしまった。

蛍は音に気づき、瑠璃の姿を見て顔色を変えた。「瑠璃、あんたここで何してるの、このクソ女!」

「蛍、あなたは人間じゃない!」

怒りに駆られた瑠璃は、蛍の顔に一発平手打ちをした。

「自分の息子の顔に傷をつけた上、息子が死んでもいいなんて言ったんでしょ!人としてあり得ない!」

蛍は顔を歪めた。「このクソ女、よくも私を殴ったな!」

蛍は瑠璃に襲いかかろうとしたが、突然スマホの着信音が鳴り、動きを止めた。そして、邪悪な笑みを浮かべた。

「瑠璃、今度こそ地獄に落としてやる。さっきの平手打ちの代償を払わせてやるわ」

瑠璃は悪寒を感じ、蛍が何かを企んでいることを悟った。蛍は髪を乱し、自分の体を通路に倒れさせた。

「助けて!隼人、助けて!」

蛍は突然、叫び声を上げて、必死に這いながら中に戻ってきた。

すぐに人が集まり、隼人もタイミングよく現れた。

隼人は乱れた髪と服装で
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