第6話

まだ家に入る前から、嫌な男の声が聞こえた。「お前の娘のせいで、こんなことになって、今は仕事も見つからないし、嫁ももらえない。ちょっと金をもらったからって、これで終わらせようってか」

その顔を見て、すぐに昔の悪党、佐々木慶一だとわかった。

今や、片目は義眼、もう一方は濁っていて、私が入ってくると上から下までじろじろ見ている。

母が背筋を伸ばして言った。「もうお金も受け取ったし、これまで散々騒いだじゃない」

「嫁が欲しいなら、うちが一人嫁がせてやるよ」

「桜子をあげる。彼女は働けるし、稼げる！ただ、もう二度と私たちに関わらないと誓ってくれればいい」

私は呆然と立っていて、口元を引きつらせた。

彼らの狙いがやっとわかった。

佐々木慶一は悪党だ。私に刺された後、和解金を受け取ったものの、この3年間、何度も金をせびりに家に来ていた。

私は逮捕されたが、美紀の秘密は彼に握られたままだ。

両親は彼のしつこい要求に耐えられず、ついにこう決めた。

私を彼に差し出すことだ。

母は目をそらし、私の目を直視しようとしなかった。

佐々木慶一は文句を言い続け、結局、400万円の「持参金」をむしり取ってきた。

私の手を引いて、連れ出そうとした。

私はその場で動かず、低い声で尋ねた。「これがあなたたちの望み？」

彼らは黙り込んだまま、佐々木慶一に連れ去られる私を見守るだけだった。

落ちた私のバッグを無造作に渡された。

私は目を上げて彼らを見つめたが、もう幻想は一切なかった。

もちろん、私は佐々木慶一に従っていくつもりはなく、車を降りるとすぐに逃げた。

しかし、ここは佐々木慶一のテリトリーで、彼は簡単に近道を使って私を路地に追い込んできた。彼の前では、私の細い体は全く無力だった。

彼は私の頭を掴んで壁に叩きつけた。その瞬間、血が流れて目の前が真っ暗になった。

耳元では、悪魔のような声が響いた。「くそ！クソビッチ、逃げられると思ってるのか！」

彼は私を引きずり戻し、上着を脱がせては唇を舐めていた。

「クソ、いいものだと思ってたのに、なんだこのブスは！」

私の傷を見た彼は興味を失ったようだ。

携帯を取り出し、私を撮影し始めた。

「葉山家のジジババ、俺を騙しているつもりか。じゃあ、お前は外に出てちゃんと働け」

私の怪我が治るのも待たずに、彼は私をクラ