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第6話

「彼は私を抱きしめながら、『結婚したのは、瑞穂の耳が僕のせいで怪我をしたことに対する罪悪感からだ』と言っていたの」

「地位のある人間なのに、妻が聴覚障害者だなんてね」

「妻のことを聞かれたとき、彼はいつも言い辛がった」

遥は私の表情をじっくりと見つめていた。

まるで、そこから何かしらの痛みや恥辱を見つけようとしているかのように。

しかし、彼女を失望させたのは、私が淡々とした無表情で、何の動揺も見せなかったことだ。

私が反応しないのを見て、遥の唇に浮かんでいた笑みは次第に消え、彼女の目には暗い影が映った。

「どうして……?」

突然、彼女はうつむいて、小さくすすり泣き始めた。

「彼も確かに私に惹かれていたのに……」

「なのに、あなたにすべてを壊された後、彼はまだ私を拒絶するようになった」

私は不意に笑い出した。

「最初から最後まで、あんたを壊したのは他でもない、あんた自身なんだよ」

「他人の夫を狙ってたら、第三者と呼ばれても仕方ないでしょう?」

13、

再び景久に会ったのは半年後のことだった。

彼は顔色が蒼白で、まるで飢えたように私を見つめていた。

「半年経っても瑞穂のことを忘れられなかった」

彼は深く息を吸い、私を一瞬たりとも見逃さずに凝視していた。

その口から絞り出された言葉は、重く鈍い響きを持っていた。

「もう一度チャンスをくれよ」

私は冷たく言い放った。

「もう私に関わらないでくれる?」

「瑞穂がいないと本当にダメなんだ」

景久の声は、掠れた低い音で、聞いているだけで胸が締め付けられるようだった。

「愛していないと思ってた」

「最初は確かに罪悪感で君と結婚したんだ」

「でもあの時、君への感情も本物だった。」

「それなのに、会社が大きくなっていくにつれて、周りの人たちは僕をからかい始めた。 どうしてあんな人とって……」

私は無表情で彼の言葉を引き取った。

「どうして聾者と結婚したのか、ってことでしょう?」

景久の唇がわずかに震えた。

「何度も聞かされるうちに、僕も恥ずかしいと感じるようになったんだ」

「君と僕の身分が釣り合わないと」

彼は言葉を詰まらせた後、続けた。

「でも、僕は遥を好きになったわけじゃないんだ」

「ただ新鮮だと思っているだけだ」

私は理解できなかった。ただ、目の前の人がまっ
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