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第8話

この言葉を聞いた途端、田中さんの呼吸が一気に荒くなった。

彼は私の胸の柔らかい部分を強くつかみ、低くかすれた声で「俺が行く。待ってろ」と言った。

ドアが閉まる音を聞くと、私は急いで立ち上がり、キーホルダーから事前に用意していたUSBを取り出し、監視室を一つ一つ探し始めた。

田中さんが戻ってきたとき、私は恥ずかしそうに生理用品を持って洗面所に入った。

しばらくして出てくると、残りの生理用品を棚に置き、少し照れくさそうに「ここに置いときますね。どうせこれから毎日来るので」と言った。

この言葉は彼に大きな希望を与えたようだった。

帰宅すると、夫はいつものようにスマホをいじっていた。

今回は笑顔を浮かべて私をソファに引き寄せ、「ねぇ、最近の仕事の給料、もう振り込まれた?」と聞いてきた。

その言葉に、私は一気に警戒心を抱いた。「どうして?」

彼はスマホのアプリを開き、そこには既に二百万以上の残高が表示されていた。

私たちが結婚して以来、お金の管理はずっと私がしていて、家の収支はほとんどギリギリ。だからこそ、私はこの仕事を受けたのだ。

残高を見て、私は好奇心を抱いて質問した。「そのお金、どこから?」

彼は嬉しさのあまり、つい口を滑らせた。「百万円を投資して、数日で倍になったんだ。だから、君も給料が入ったら、俺に渡して、一緒に投資して稼ごうよ!」

「百万円?」私は冷淡に聞き返した。

すると彼は急に言葉を濁し始め、「いや、違う、十万円!俺、興奮して言い間違えたんだ」と言い訳をした。

その後、彼は私にへつらうように近寄ってきて、「これは俺のへそくりなんだ。仕事が見つからなくて、なんとかして家計を助けようと思ってさ」と言った。

私は彼の拙い嘘を指摘せず、ただ「佐藤さんに月払いにするか都度払いにするか聞かれたけど、家にはまだ少し貯金があるから、月払いにしたよ」と返した。

話をそこまでにして、私は話題を変え「お風呂に入ってくるね」と言い、彼はソファに座って何かを考え込んでいた。

風呂から出てくると、彼の目がひどく赤く腫れていて、どうやら泣いていたらしい。テーブルの上にはいくつかの物が散らばっていた。

「どうしたの?」と私は尋ねた。

彼は私を見上げ、ぼんやりと「お金が全部なくなった......俺、焦りすぎたんだ」と言った。

その言葉を聞いて、私はすぐ
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