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第34話

直樹は真面目な顔で言った。「私もそう思う。身分を明かさずに付き合えば、妹は負担に感じないだろう」

平野は最終的に妥協した。

間もなく、紗希は公式サイトで大会結果が発表されたことに気づいたが、順位は公表されていなかった。

入賞した11名のデザイナーが授賞式に招待され、その場で順位が発表されることになっていた。

紗希は招待状を受け取り、来週授賞式に参加することになった。

彼女は友人の美咲にスクリーンショットを送った。「入賞したけど、順位は分からない」

美咲は興奮して返信した。「絶対一番よ、あなた以外にありえないわ。でも今年突然ルールが変わったのはちょっと変な感じがするわね」

紗希も不思議に思ったが、この大会は3年に1度で、多くのデザイナーがこの機会を待っていた。業界で認められた価値のある大会だからだ。

「紗希、渡辺グループの人がまた連絡してきたわ。あなたが入賞したかどうか聞いてきて、また好条件を提示してきたの。あなたを引き抜きたいみたい。私はこの機会はめったにないと思うけど、紗希、本当にまだ考える必要があるの?」

紗希は言いたくても言えなかった。美咲は彼女が結婚したことは知っていたが、拓海と結婚したことは知らなかった。

彼女は少し考えて返信した。

「学校に戻って学業を終えたいの。今のところ正式に就職したくないわ。時間がかかるし、卒業証書が欲しいの」

美咲は返信した。

「分かったわ。どんな決定をしても、私はあなたを支持するわ」

紗希は決勝の招待状を見て、Instagramに投稿した。

「3年また3年、今回は途中で諦めないわ」

間もなく、拓海の方も入賞者リストが公表されたことを知った。

彼はリストを一目見て、紗希の名前を見つけた。この女性が決勝に進出するとは思わなかった!

彼は携帯を取り出してLINEを開き、最新投稿があることに気づいて、紗希の投稿を見た。

拓海は目を細めた。3年また3年?

3年前はちょうど彼女が自分と結婚した日で、前回の国際パイオニアデザイン大賞が開催された時期でもあった!

彼女の棄権した原因も、おおよそ推測できた。

男はこの言葉をしばらく見つめ、少しイライラした気分になった。

そのとき、裕太がオフィスに入ってきた。

「社長、あの天才・亜紗は決勝に進出していましたが、相手は会社の招待を断りました」

拓海は眉
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