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第40話

「拓海兄さん、なぜあの女の人の言い分を擁護するの。今のはとても恥ずかしかったわ」

拓海は視線を外し、非常に冷たい口調で言った。「同じようなことがまた起きれば、これからは渡辺家のデパートに入れなくなる。言ったとおりにしろ」

「拓海兄さん、そんなふうに私に当たるなんて、私も渡辺家の株主なのに」

「今の渡辺家では私の言うことが最終的に決まるのだ。お前には何の貢献もないのに、足を引っ張るようなことは絶対に許さない」

拓海はこう言ってそこを去ってしまった。玲奈は怒りに足を踏みならしながらも、反論する勇気が出なかった。

腹を立てた玲奈は店を出て、すぐに詩織に電話をかけた。「詩織姉さん、知らせがあるの。紗希がなんと決勝に進出したわ」

「そうなの?」

詩織は仕事に忙しくて知らなかった。LINEで決勝進出者リストを開き、紗希の名前を目にした。

彼女の表情はそれほど良くなかった。

「想定外だわ、この女かなり運が良いのね」

国際パイオニアデザイン大賞の決勝に進めるのはとても難しいことで、実力によるところが大きい。

「詩織姉さん、今日、紗希がドレスを買いに来てたわ。私は少し教育しようかと思ったんだけど、まさか拓海兄さんも店に来ていて、紗希を擁護して、さらにドレス代まで出してあげてたわ」

「何ですって?」

詩織は眉をひそめた。絶対に紗希をこのコンテストで輝かせるわけにはいかない。そうなれば、拓海の注意がきっとあの女に奪われてしまうだろう。

「詩織姉さん、どうしよう。あの女、賢くやっているみたいで、、拓海兄さんの偏見も消えかかっているわ」

「心配しないで、私にも対策がある」

詩織は電話を切ると、視線が暗くなった。誰にも拓海を奪わせない、この優秀な男は私のものだ!

彼女は決勝進出者リストを見つめ、冷たい笑みを浮かべた。

「紗希、今度こそ教訓を与えなければならないわ」

_

紗希は静香とデパートから出てきた。

静香は口を開いた。

「紗希、あの渡辺社長はどう?」

この質問に、紗希の足が止まった。

「静香姉さん、なぜそんなことを聞くの?」

もしかして、静香が疑念を抱いているのだろうか。

「別に。今日、あの人がお客様を擁護するために、玲奈さんに謝らせたのは意外とルールがある人だと思っただけよ」

紗希は拓海がいつも仕事で一貫していることを知っていた。彼は個
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