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第290話

その後、紗希の技術は止まらない勢いで向上し今では大きく進歩していた。

南は紗希の言い訳を見抜いていた。間違いなくどこかの会社のシステムに侵入しようとしているのだろう。

彼は落ち着いた声で答えた。「そう、これはとても簡単なことで、前に教えた手順で進めればいい。ただし、大企業は通常セキュリティ担当者がいて、システムへの侵入を発見したら素早く対応してくる。だから、絶対に安全なファイアウォールのIPアドレスを使う必要がある。そうしないと、足がつくかもしれない」

「南兄さん、前にもらったプログラムがあるから、大丈夫なのか?」

「誰でも分からなかった。新しいのを送るよ。こっちの方が安全だよ」

紗希は少し黙った。「ありがとう、南兄さん」

彼女は南兄が自分の意図を察しているのに、それを指摘せず、さらに安全なプログラムまで送ってくれた。

「何を言ってるんだ。紗希自分で解決できない問題があったら、すぐに電話しろよ」

「はい」

紗希は電話を切ると、すぐに南兄から圧縮ファイルが送られてきた。紗希はすぐにUSBメモリにダウンロードした。

翌日、紗希はタブレットを持って三井不動産グループの支社に向かった。

立ち退き補償の担当者がここで働いているので、直接理由を確認するつもりだった。

紗希は一階のフロントに行った「こんにちは。私はXX団地の住民で、立ち退き担当の松下さんにお会いしたいのです。みんなが補償金を受け取っているのに、うちだけまだなので、理由を確認したいのですが」

「少々お待ちください。すぐに確認いたします」

紗希は横に立って、オフィスの内装を見渡した。なかなかセンスがいい。

受付嬢はすぐに彼女に言った。「松下さんは今忙しいので、少しお待ちいただけますか?終わり次第、対応させていただきます」

紗希は横の椅子に座り、タブレットを取り出してグループのネットワークに侵入を開始した。

最初、紗希は内部システムのウェブページを適当に見ていただけだったが、立ち退き事務所の業務予定を見つけ松下さんの顔を覚えた。

1時間待った後紗希は少し焦り、受付嬢に聞きに行った。「松下さんはまだ会議中ですか?」

「はい、申し訳ありませんが、もう少しお待ちください」

席に戻った紗希は、すぐにシステムに侵入して松下さんの電話番号を調べ出し、電話をかけた。相手はすぐに出た。「はい、ど
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