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第292話

パソコンを見ながら、平野は南に電話をかけた。「南、あるハッカーが大胆にも私の会社のネットワークシステムに侵入したんだけど、相手を見つける方法はある?」

「へぇ、あなたの会社のシステムをハッキングする勇気がある人間がいるんだ?大京市では三井不動産グループに手を出すハッカーなんていないのに」

「無駄な話を言わないで、ここは大京市じゃない。相手がかなり手強いから、セキュリティ部門はもう手詰まりだ。この前話していた強力なプログラムを送ってくれ、今日中に必ずこのハッカーを捕まえてやる」

平野は南がいれば、捕まえられないハッカーはいないと確信していた。

南は笑って言った。「簡単なことさ。相手の仮想IPアドレスはどこにある?場所が分かれば、大体どういう相手なのか分かるはずだ」

「相手の仮想IPはロストアイランドにある」

ゴホゴホ、南はその名前を聞いてコーヒーを吹き出しそうになった。「平野兄さん、もう一度言ってくれ。どこだって?」

「ロストアイランドだ。変な名前だが、こんな場所が本当にあるのか?」

「もちろんない、仮想アドレスだからな」

南は早くこう考えていた。まさか、こんな偶然なのか?その場所は友達と研究して作ったもので、現在使える人はほとんどいないはずだ。

昨夜紗希にあのセキュリティソフトを渡したばかりなのに、もう見つかってしまったのか?

南は突然嫌な予感がした。まさか紗希が平野兄の会社のシステムをハッキングしたのか?

平野は少しイライラして言った。「南、何をぼんやりしている。プログラムを送ってくれ」

「ちょっと待って。今ちょうど暇だから、私は対応しよう。それに、僕が確認したいことがあるんだ」

平野は眉をひそめた。「まさかそのハッカーを知っていて、手加減するつもりじゃないだろうな?」

「平野兄さん、まだ何とも言えない。自分で確認する必要がある」

「分かった。パソコンの制御権限をあなたに渡す。うちのシステムはあなたの会社が開発したものだから、後はどうすればいいか分かるか?」

平野は電話を切った。南の様子がどこか変だと感じた。

本当に南の知り合いなのだろうか?

南はすぐに会社の内部システムに接続し、ハッカーへの攻撃を開始したが、相手を負かすのに時間はかからなかった。なぜかこのハッカーのやり方がとても見覚えがあった。

南は突然動きを止め、考えた
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