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第271話

紗希は二人の真剣な表情を見て、養父母に誘拐された件について自分を諭そうとしているのだろうと思った。

彼女は少し心細くなり、大人しく皿を置いた。

「何?」

平野は口を開いた。

「紗希、私と静香は長い間このことを考えていたんだけど、僕たちと一緒に大京市で暮らすのはどうかな?」

静香は紗希の隣に座り、紗希と伯母を見た。

「安心してください。もし大京市に戻るなら、家族全員で家に戻る。伯父さんも、大京市の病院に転院させる手配をする。将来大京市に戻った後、みんなでお互いに助け合えるでしょう」

これを聞いて、紗希は反射的に伯母を見た。

彼女自身はどちらでもよかった。

彼女はお腹には拓海の子供がいるので、どうせ大京市で出産するつもりだった。

しかし、伯母はずっと青阪市で暮らしてきたので、完全に故郷を離れるのは簡単ではないかもしれない。

案の定、伯母はためらった。

「それについては、考えさせて」

紗希は伯母の手を取った。

「伯母さん、私のために迷わないで。あなたがいる場所が私のいる場所だよ。私が伯母さんと伯父さんに老後生活を保障するという約束は、これからも変わらないわ」

伯父と伯母の一人っ子が事故に遭ってから、その家に残された子供は彼女だけだった。

紗希は、伯母が彼女を自分の子供として育て、すべてを捧げてくれたことを知っていた。

たとえ彼女が大京市に戻りたいと言っても、伯母はそれを止めないことも知っていた。

しかし、紗希は絶対に伯母を置いて行くつもりはなかった。

平野も続けて言った。

「時間はある。決断を急ぐ必要はない。紗希、養父母の件で、僕と静香はお前を守れなかったことをずっと申し訳なく思っている。今回も彼らにお前を傷つけさせてしまったから」

紗希は首を振った。

「それはあなたたちのせいじゃないよ。この事件の後、彼らはもう二度と問題を起こせないだろう」

平野は頷き、冷たい目つきで言った。

「その通りだ。彼らは二度とお前の前に現れて邪魔をすることはできない」

今回、彼は絶対にあの一家に厳しい教訓を与えるつもりだった。

残りの人生を刑務所で過ごさせる!

元々、彼は紗希の養父母を見逃すつもりでいた。

まさか、教訓を得ようとせず、棺を見るまで涙を流さない人々がいることは思わなかった。

間もなく、他の兄たちも家に到着し、紗希が無事で
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