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第277話

直樹が二人の兄に相談すると、意見は一致し、貧乏な振りをやめることにした。

彼らはゆっくりと方法を考えて、紗希の頼れる存在になろうとしていた。

健人と悠真も頷いた。

「紗希、お前の兄達が今お金持ちになったんだし、南の会社もすぐに上場が成功するだろう。だから、我が家にはお金に困ることはない。これからは何が欲しくても買えるし、お金のことは全く心配しなくていいんだ」

紗希は感動して、何と答えていいかわからなかった。

「じゃあ、私ももっと頑張って働かなければならないよ。将来は有名なデザイナーになって、兄さん達に迷惑をかけないように」

この言葉を聞いて、直樹は目を真っ赤にした。

妹に頼ってほしかったのに、妹が出世のためにもっと一生懸命働くと言うとは思わなかった。

感動しすぎて涙が出そうだ。

自分たちの妹はどうしてこんなに頑張り屋で可愛いのだろうか?

その夜、平野兄さんと南兄さん、北兄さんも帰ってきたので、紗希は自ら台所に立って兄達のお祝いの料理を作った。

紗希は飲み物を持って言った。

「今日お酒の代わりにお茶で乾杯しよう。みんなが早く大金持ちになるように」

平野は従弟達が勝手に行動したことに少し腹を立てていたが、紗希がとても嬉しそうなのを見て、自分がずっと身分を隠していたのは正しい選択だったのかどうか疑問に思い始めた。

静香は紗希の手を取った。

「紗希、お金持ちになるのを目指すのは兄達に任せておけばいいのよ。あなたは私と同じように、家でショッピングしてお金を使うだけでいいの。そんなに頑張らなくていいのよ。あなたも私達小林家のお姫様なんだから」

平野も急いで頷いた。

「そうだよ、紗希。将来、僕達と一緒に大京市に戻ったら、そんなに一生懸命働く必要がないんだ」

直樹はカードを取り出した。

「紗希、このカードにはお金が入っているから、住宅ローンを返済しておいで。僕は今、お金に困っていないからね」

他の兄達も次々とカードを差し出した。

「紗希、これは僕達の気持ちだ。受け取ってくれ」

紗希は6枚のカードを見て、何と言っていいか分からなかった。

少し考えた後、彼女はすべて受け取った。

「じゃあ、遠慮なくいただくわ」

彼女は、兄達が自分に償いたいのだと分かった。

もしカードを受け取らなければ、兄達はきっと悲しむだろう。

実際はもう、過去のこ
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