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第279話

紗希は、高慢な口調で問いかける男の言葉を聞いた。

拓海の目は以前とまったく変わらなかった。

彼女は乾いたばかりの髪をかき上げた。

「当ててみなよ」

拓海は彼女の小さな動作を見た。

彼女が髪を耳にかけると、肩のストラップが少し下がり、露出が増えた。

暖かな光に照らされたそれは、少し眩しかった。

男は一瞬呆然とした。

このような光景を見るとは思わなかった。

彼は喉を少し動かし、目つきはかなり険しくなった。

紗希がわざとそうしたのだろうかと考えた。

しかし、彼女は自分が露出していることに全く気づいていないようだった。

紗希は、ビデオの向こう側で黙り込んでいる男を見て言った。

「他に用はある?ないなら切るわ」

「紗希、まだ俺の質問に答えていないだろ!こんな格好をしているからって、私を誘惑できると思うな!たとえ裸で俺の前に立っても、無駄だ!」

紗希「???」

どんな格好をしているというのだ?

ただの普通のパジャマじゃないか?

紗希が下を向くと、やっと、肩のストラップが下がっていることに気づいた。

少し大きく動けば肌が見えてしまうところだった。

彼女は顔を真っ赤にして、すぐにビデオ通話を切った。

彼女は急いでストラップを直し、布団を引っ張って顔を覆った。

本当に恥ずかしかった。

拓海は自意識過剰打。

自分がわざとやったと思っているのか?

本当に厚かましい!

紗希は拓海を引っ張り出して殴りたくなった。

誰がわざとそんな格好をして誘惑しようとしたというのだ?

本当に厚かましい!

まあいい。

数カ月後に卒業した時は、お腹も大きくなっているだろうし、大京市に行って出産するつもりだった。

どうせ遠くへ行くのに、なぜ拓海に我慢する必要があるのだろうか?

翌日、紗希は最初病院に行って妊婦健診を受ける予定だったが、北が午前中少し用事があるので、午後に病院に来るように言ってきた。

今、紗希が唯一信頼している人は北だけだ。

北がいなければ、妊婦健診を受けるのも不安だった。

そのため、彼女は午後に健診を受けることにした。

午前中、直接私立病院に行って渡辺おばあさんを見舞った。

昨日、おばあさんはインスタグラムにコメントしてきていた。

彼女は渡辺おばあさんの手術がどのように予定されているか聞いてみるべきだと思った。

拓海が詩
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