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第278話

拓海はそれを聞いた瞬間、怒りのあまりネクタイを引きちぎった。

祖母は紗希の写真に写っているクレジットカードを、自分が渡したものだと思っているのか!

紗希は浮気したのだ!

紗希という女は本当に法律も道徳も無視している!

拓海は、紗希と話し合わなければならないと考えた。

「拓海、私はあなたを信じているわ。頑張ってね」

拓海は祖母に、そのような励ましは必要ないと言った。

彼の心はまた一撃を受けた。

彼は携帯電話を持って書斎を出た。

見慣れた別荘の内装を見て、すべてが以前と変わらないように思えたが、ある人の存在は消えていた。

寝室に戻ると、彼は携帯電話を取り出し、紗希にメッセージを送った。

「お前、インスタグラムの投稿は何なんだ?」

紗希が身支度を整えて気分よく寝ようとしていたところへ、拓海からのメッセージを受け取った。

彼女は拓海からのメッセージを見て一瞬驚いた。

彼はLINEの友達を削除したはずではなかったの?

紗希は、後に、養母が持ち去った200万円を返すために拓海をLINEの友達に追加したことを思い出したが、その男はまだそのお金を受け取っていなかった。

彼のこの態度は何なんだ?

紗希は冷淡に返信した。

「何?分からないなら見ないでよ」

「6枚のクレジットカードは、誰からもらったんだ?」

「明らかじゃない。6人の男からよ」

拓海はこの言葉を見て、あの日病室で出会った数人の男たちを思い出した。

彼らは皆、大京市の小林家の人々のようだった。

彼は何か変だと感じ、紗希に音声電話をかけようとしたが、誤ってテレビ電話のボタンを押してしまった。

紗希は、相手からテレビ電話が来たのを見て、自分が見間違えたのかと思った。

彼女は拓海と3年間結婚していたが、彼にメッセージを送っても返事はめったになく、ましてやテレビ電話なんてなかった。

しかし彼女は、前回自分が山奥に誘拐された時を思い出した。

拓海が時間通りに来てくれなかったら、どんな結果になっていたか想像もできない。

最終的に彼女は深呼吸をして通話ボタンを押した。

「もしもし、何か用?」

拓海はビデオ越しの紗希を見て、一瞬呆然とした。

紗希がテレビ電話に応じるとは思っていなかったからだ。

紗希がベッドの枕元に寄りかかり、キャミソールを着て、髪がまだ完全に乾いていない様子を
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