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第272話

自分の心をコントロールしなければならない。

しかも、密かに拓海の子供を妊娠している。

もし男が知ったら、きっと中絶させられるだろう。

以前、彼は子供が欲しくないと言ったのだから!

そう考えると、紗希は完全に目が覚めた。

彼女は自分のお腹に触れ、どんなことがあっても赤ちゃんを守って無事に産むことを誓った。

彼女が洗顔を済ませ、服を着替えた後、北から電話がかかってきた。

「紗希、そろそろ産婦人科検診に来る時期だ。時間を作って来てくれ」

「分かったわ。今日は学校の授業があるから、後で時間を作って行くわ」

紗希は時間割を見て、この2日間の授業が詰まっていることに気づいた。

彼女は教科書を持って直接学校に向かった。

たった二日間の週末だったのに、一世紀ほど長く感じられた。

しかし、幸いなことにすべてが無事に過ぎ去った。

紗希が教室に着いて授業を受けていると、最後に補習指導員が来て言った。

「みなさん、午後に参加する行事がある。三井不動産グループが我が校に奨学金財団を設立するつもりだ。成績が優秀なら、三井不動産グループが提供する奨学金を獲得できる。みんな、これから頑張ってね」

三井不動産グループ?

紗希は実家の古い団地のの取り壊しも三井不動産グループがやったことを思い出した。

最近このグループが彼女の周りによく現れる気がした。

しかし、これは詩織の長兄が経営している会社だ。

前回、詩織は再開発の件で彼女を脅していた。

でも構わない、彼女は脅しに屈するようなことはない。

補習指導員は紗希を呼び止めた。

「紗希さん、今回三井不動産グループがプロジェクトチームを立ち上げる。あなたの能力が優れているので、うちのクラスからあなたと学習委員を推薦しようと思う。プロジェクトチームには他の学校の学生も参加するから、我が校の名誉のために頑張って、三井不動産グループが我が校にもっと設備投資や就職機会を提供してくれるようにしてください」

紗希は躊躇した。

「先生、少し考えさせてもらってもいいですか?」

他のグループは構わないが、三井不動産グループだ。

彼女は極力詩織と関わりたくなかった。

三井不動産グループは公平さで有名だが、前回の国際パイオニアデザイン大賞に参加した時、詩織が手を回すのを許していた。

コンテストでは何とか賞を取れたが、今回は時
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