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第234話

「だめだよ、紗希。あなたは今回のデザイナーなんだから、婚約式の会場に来て監督すべきだよ。それに詩織さんが直接お礼を言いたいって言うから、ちょっとでも顔を出してほしい。そうしないと、スタジオの立場も悪くなるから」

ここまで言われると、紗希は断る言い訳が見つからなかった。

「紗希、あなたは詩織さんと以前知り合いだったの?それとも何か問題があったの?」

「いいえ、知りません」

紗希はすぐに否定した。

過去のことを話したくなかったし、それが今の彼女の人生に影響を与えてしまうのが嫌だったからだ。

彼女は仕方なく同意した。

「わかりました。明日、婚約式の会場に行って監督します」

「そう、遅刻しないように早めに来てね。早く休んでおいて」

紗希は電話を切った後、少し怒りを感じた。

詩織のあのクソ女!

わざと自分を困らせようとして、先輩を使って強引に明日の式場に来るよう要求させたんだ!

婚約式の会場に行かなければ、説明もできない。

婚約式の会場に行けば、彼女のデザインした会場で元夫と愛人の婚約を目の当たりにすることになる!

それを考えただけでも悔しい!

この怒り、簡単には収まらない!

紗希はすぐにネットに投稿した。

「私は結婚式のデザイナーです。元夫と愛人の婚約式の仕事を受けてしまいました。今、愛人は私の会社の社長を通じて私に明日の式に必ず出席するよう要求しています。貧乏な会社員は上司の要求を断れません。明日、婚約式の会場に行くとき、どうすべきでしょうか?合理的な解決策を待っています!」

彼女はただストレス発散の場所を探していただけだったが、わずか1分で1000以上のコメントが寄せられた。

「爆弾を持って会場に行き、クソ男女を吹き飛ばすことをお勧めします。そんな仕事なんてやめてもいいでしょう!」

「投稿者さん、かわいそう。続報を待っています!」

「プレゼントを贈るのはどうですか?例えば花輪とか、紙銭とか、不倫の日数を書いた白い横断幕とか」

瞬く間に多くの人はコメント欄で議論し始め、徐々に男女の性別対立に話題が逸れていった。

紗希は高評価の返信を見つけて考えた。

花輪を送る?

それも悪くないかもしれない。

明日の婚約式の会場は全て花で飾られるのだから、黄色と白の菊の花を加えれば、きっと素敵に見えるはずだ。

紗希はすぐに携帯を取り出し
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