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第187話

紗希は養母が無理を通そうとする様子を見て、すぐに声を潜めて言った。「外で話しましょう」

「外になんか行かないわよ。何かあるなら、ここであなたの同僚の前ではっきりさせなさい。なぜあなたは弟を助けないんだ?あなたが孤児院で死にそうだった時、私たちがあなたを引き取って、今まで育ててきたのよ。それなのに、あなたは恩を仇で返して、家族さえ認めないなんて、なんでそんなに恩知らずなの?」

養母は完全に泥棒猫の本領を発揮し、事実を歪めて紗希の顔に泥を塗るような発言ばかりした。

養父は正直で真面目な農夫を演じ切り、紗希の周りの同僚に説明した。

「私たちも追い詰められてしまった。紗希が小さい頃から、学費や食費のために私たちの貯金をずいぶん使った。それなのに、今家に金が必要な時に、彼女は姿を隠してしまっうったので、こうするほか私たちにも他に方法がなかった」

紗希は、恥知らずな養父母を冷ややかに見た。

「私の学費なんて、あなたたちは1円も出してくれていなかったじゃない」

養母はすぐに泣き叫び始めた。

「紗希、あなたが私たちのお金を使わなかったら、どこにお金を使ったって言うの?この恩知らずの娘!賞金で1000万円以上も稼いで、仕事でもこんなにお金を稼いでるのに、私たち夫婦には1円たりとも渡さないなんて」

そのとき、風間が隣の事務所から出てきて、眉をひそめて言った。

「どうしたんだ?」

養母はすぐに取り入るように言った。

「あなたが紗希の上司ですか?彼女はここでかなりの高給取りでしょう?私達は彼女の親ですので、今後はあなたのスタジオから直接私たちに給料を渡してください」

紗希は憤慨して笑った。

こんなに恥知らずな人を見たことがなかった。

養父母はいつも彼女の想像を超えてくる。

風間はようやく口を開いた。

「あなたたちは紗希の養父母なのか?」

「そうです。当時、私たちは苦労して紗希を育て上げたのに、今、紗希はこのような恩知らずに育ってしまったの。今、家族の命を救うためにお金が必要なので、あなたは上司として紗希の給料を私たちに渡すべきですよね」

風間は冷ややかに鼻を鳴らした。

「紗希の給料をあなた達に渡す?何の理由があって?あなたたちが恥知らずでは?」

養父母は、相手がそう言うとは思っていなかったのだろう、呆気に取られていた。

風間は言い続けた。

「私
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