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第193話

紗希は、まさか空港で詩織と玲奈に会うとは思っていなかった。

二人とも手荷物を持っていないことから、明らかに旅行ではないようだった。

もしかして誰かを迎えに来たのだろうか?

玲奈はすぐに鼻高々に言った。

「本当に狭い世界ね。どこにいてもあなたに会うなんて」

紗希は冷淡な表情で答えた。

「同感」

三人は一緒に空港の中に向かい、全員が1階の到着ロビーに向かった。

詩織は隣の紗希を見て、直接尋ねた。

「あなたも誰かを迎えに来たの?」

玲奈は嘲笑いながら言った。

「当然でしょ。彼女の収入では、どこに行くにも電車や車だろうし、飛行機なんて乗れないでしょう。だって、航空券はあんなに高いんだから!」

紗希は目線を少し上げて言った。

「玲奈、あなたはあんなに長く学校に通ったのに、認識と品性が小学生並みね。飛行機に乗ることは、あなたにとって優越感を感じさせる手段なの?」

「紗希、誰が小学生並みだって言ったの?私は海外の有名大学を卒業したのよ。あなたみたいに中退したんじゃないわ」

「お金で買ったニセ大学の卒業証書が有名な大学扱い?あなた、有名な大学についての認識が間違ってるんじゃない?」

紗希は玲奈の声がハエのようにうるさく感じ、聞いていてうんざりした。

人は教訓を与えられなければ、反省の重要性を知らないままだ。

この3年間、彼女は渡辺家にいたのに、玲奈の本質を知らないはずがない。

玲奈は表情を保つのが難しくなったが、反論できず、ただ怒って口を閉ざすしかなかった。

隣の詩織の目に嘲笑が浮かんだ。

玲奈は本当に馬鹿だが、運がいいのよね。生まれつきお嬢様で、幼い頃から贅沢を受けて育ったんだから。

詩織は隣の紗希を見て言った。

「私は兄を迎えに来たの。あなたは誰を迎えに来たの?」

紗希は「兄」という言葉を聞いて、冷静に答えた。

「私も兄を迎えに来たわ」

今日、兄と義姉が来るので、彼女は当然迎えに来なければならない。

兄夫婦は自分にとても良くしてくれているのだから。

詩織の目に驚きの色が浮かんだ。

「あなたに兄弟がいるの?」

紗希は孤児で、ろくでもない養父母と伯母しかいないと聞いていたのに、どこから兄が出てきたのだろう?

隣の玲奈が冷笑した。

「最近、誰かを兄だと認めるのが流行ってるんでしょ?」

詩織の目に光が浮かんだ。

なるほ
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