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第180話

紗希は口を開いた。「北兄さん、この手術に参加したんだから、これからの渡辺おばあさんの手術について何か変わったことがあったら、すぐに私に知らせてね」

彼女も渡辺おばあさんの健康状態をとても心配していた。

北は紗希の優しい様子を見て、ため息をついた。「紗希、心配しないで。僕が渡辺おばあさんは大丈夫だと保証する」

彼は必ず全力を尽くしてこの手術をうまくやり遂げ、紗希と渡辺家との関係を完全に断ち切ろうと決意した。

紗希が帰った後、北は平野に電話をかけた。「平野兄さん、僕がいつ詩織の婚約パーティーに行くって約束したの?」

「ええと、俺が行けないからさ......」

「平野兄さん、自分が約束したことは自分で守ってよ。僕は何も約束してないよ」

北は詩織がおばあさんを利用して脅すのが嫌だった。

詩織が行儀よく従順であれば問題ないが、表面上の純真な外見とは全く違っていた。北はこのような裏表のある人間が好きではなかった。

電話の向こうで平野はため息をついた。「もういい。僕は数日後に青阪市に行くよ。紗希が最近誹謗中傷されたから、僕と静香は紗希を見に行って安心したいんだ。詩織のことについては、こう考えているんだ......」

平野は自分の考えを説明した。

北は少し考えてから言った。「それでいいと思うけど、詩織が同意するかどうかわからないね。その前に、紗希のことは絶対に公にしないでほしい。紗希を傷つけたくないから」

「北、詩織がそんなことをするはずがないよ」

北は何も言えなくなった。平野は外では冷酷に見えるけど、途中で養子に迎えた詩織も含めて、自分の家族を本当に信頼していた。

北はそれ以上何も言わなかった。詩織が拓海と結婚して、青阪市に住むことになるならそれでいい。

将来、紗希を大京市に連れて帰れば、誰も妹をいじめることはできないだろう。

そして、紗希のお腹の子供が生まれたら、それは小林家の子供だ。父親が誰であろうと、大京市には関係ない。

そう考えると、北は詩織の婚約パーティーに出席してもいいかもしれないと思った。

これが詩織を送り出す最後の機会になるかもしれない。

——

紗希は家に帰って休んだ。翌日、詩織の婚約のニュースがエンタメランキングを独占していた。

彼女は詩織がウェディングドレスを試着している写真を見た。それは以前、詩織の別荘で見たドレスだ
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