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第182話

これは本当にいい知らせではなかった。

放課後、彼女は学校から急いで出て、養父母に見つからないように帽子とマスクをつけた。

養父母が、学校の門で彼女を待ち伏せしてくるかもしれないと考えたためだ。

紗希は道の横を歩いて見回り、不審な人が見当たらないのを確認して安心し、タクシーで家に帰ろうと準備した。

「紗希、止まって!」

赤い高級車が道路脇に停まり、玲奈が怒りを抑えず車から降りてきた。

「どこへ隠れようとしているの?」

紗希は玲奈を見て、表情を変えずに言った。

「私は隠れていないよ」

「暑い日に、なぜマスクと帽子をつけているの?」

玲奈は紗希の前に立って言った。

「あなたが私の家に告げ口したせいで、今度の月給は五万円しかもらえない。全然足りない。奈美の件は私とは関係ないから、あなたはそれを拓海兄さんとも話し合ってください。これは奈美一人で引き起こしたことで、私と関係ないんだから」

ここ数日お金が使えなかったのは本当に苦しかっただろう。友達の集まりにも行けないし、ショッピングにも行けない。これは彼女にとって、殺されるよりも苦しいことだ。

紗希は目の前の不機嫌な玲奈を見て、玲奈がかつてどんな生活をしていたかを思い出した。

普段からお金をたくさん使い、見栄っ張りで他人と見比べるのが好きな玲奈にとって、突然クレジットカードを止められるのはとても辛いことなのは間違いない。

拓海はこう対応したのは、玲奈にはかなり効果的だったようだ。

紗希は冷淡に言った。

「私のせいでカードを止めたのではなく、私には関係ない。それに、奈美がこの件があなたと関係があることを認めたのに、あなたは無罪なのか?」

「本来私とは関係がない。あなたの敵が多すぎた。奈美は、あなたが見苦しがるのを狙っているだけ。私とは関係がない。」

玲奈はこのことが自分に関係あるとは絶対に認めはしない。

奈美のところもすでに処理済みで、何も言わない。

だから今は安全だ。

紗希は玲奈が認めないとは分かっていたので、無駄話をする時間を浪費したくなかった。

そのとき、道の向こうから近づいてくる中年の男女を見つけた。

もしや、養父母じゃないか?

くそ、玲奈に引き止められたせいだ。

さもなくば、早く学校から去り、養父母に捕まることはなかった。

紗希は慌てて頭を下げたが、すぐに養母の声が聞
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