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第7話

その騒動の後、学校も夏休みが近づいていた。

楓はしばらく私の前に現れず、裕太ももう私のラーメン屋には来なくなった。これでやっと、彼ら親子のドラマも終わり、私と潮の生活が静かに戻るはずだった。

だが、その日、エビを買って帰る途中、家に着いても潮の姿が見当たらなかった。

私は冷静になろうと努め、携帯を取り出して、潮の先生や彼女がよく行く本屋に電話をかけた。

しかし、どこにも潮の姿はなかった。

私は心配でたまらなくなり、外に飛び出して警察に通報しようとした。

廊下で、向かいの家の菜かごを持った佐藤さんに会い、私が汗をかいているのを見て、どうしたのかと聞かれた。

潮がいなくなったと伝えると、佐藤は私以上に慌て始めた。

「ちょっと、恭子、私が思うにはさ、もしかして最近よく来てるあの金持ちの人が潮を連れて行ったんじゃない?」

私は驚いて、「何ですって?」

「いつも車であなたを迎えに来るあの方よ。彼、あなたに気があるんでしょ?」

誰のことを言っているのかすぐに分かったが、否定しようとした矢先、彼女は続けた。

「今の時代、再婚となると子供の意向も大事だから、きっと彼は潮と仲良くなろうとしているのよ。それであなたの気を引こうとしてるんじゃない?

とりあえず、一応電話で確認してみたらどう?」

彼女の言い方は遠回しだったけれど、その本心は私にも伝わってきた。

事実は彼女が言うようなものではないが、私の頭の中には、すでに恐ろしい想像が湧き上がっていた。

最近、裕太が私が潮の世話をしているところを見るたび、彼の目に浮かぶ寂しそうな顔。そして彼が私に会いに来たときには、いつも冷たくあしらわれていた。

私は父子を追い返そうとしていたが、もし彼らが潮を連れて行ったとしたら?

その考えが浮かんだ瞬間、私の頭はその可能性ばかり考え出した。

震える手で携帯を取り出し、楓に電話をかけた。

電話が繋がる前に、ちょうど黒いマ○バッハが家の前に停まった。

裕太はスーツに革靴を履いて、何かを抱えていた。

彼が私を見て嬉しそうに、「ママ、どうして僕たちが来るのが分かったの?」と声を上げた。

私は彼の言葉を無視し、まっすぐ楓の前に歩み寄り、彼の襟を掴んで「潮はどこ?」と問い詰めた。

楓は一瞬驚いたが、すぐに状況を理解し、慌てて携帯を取り出した。

「恭子、落ち着いて。今
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