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第6話

私はため息をついて、潮に聞いた。「潮は彼らと一緒に食事したい?」

潮は泣きそうな裕太を一瞥して、あまり興味なさそうに言った。「ママが決めていいよ」

裕太は助手席に座って、とても嬉しそうで、時々後ろを振り返って私をチラッと見ていた。

私が潮と話している間、彼は口を尖らせていたが、以前のようにすぐに地面に寝そべって泣き喚くことはなくなっていた。

確かに彼は以前よりも成長し、物分かりがよくなっていた。しかし、私は彼がわがままだったから嫌いになったわけではないし、今彼が大人しくなったからといって好きになるわけでもない。

この数日、楓は日野と東京を行き来していた。裕太はハウスキーパーに世話されていたが、放課後になると、よく一人で私の店に来て、黙々とテーブルで宿題をして、閉店まで待ってから帰っていた。

そのことについて、楓は特に説明することもなく、ハウスキーパーさんも私の店が閉店する時間に合わせて、決まって彼を迎えに来るだけだった。

でも、だから何?

温水の中の蛙みたいにじわじわと圧力をかけるつもり?

私は母性愛が溢れかえるようなタイプじゃない。

今日、裕太の誕生日を一緒に祝うことにしたのは、これを機に彼らに距離を置かせるためでもある。

楓が何を狙っているかは分かっていたけど、心理戦なんかに付き合う気はさらさらなかった。

車が駐車場に止まった瞬間、窓に誰かの姿が貼り付いていた。それは静香だった。

彼女は言った。「裕太、おばちゃんは誕生日のお祝いに来たよ」

その瞬間、私はその食事を断念し、タクシーを呼んで潮と帰ることにした。

潮はまだ幼い。ホラー映画はたまになら良いとしても、こうした不倫や愛人の茶番劇は、彼女にはまだ早すぎる。

車に乗り込む前、楓は冷たい顔で、行動を暴露したアシスタントに怒っていた。裕太はというと、静香が持ってきたケーキを地面に叩きつけていた。

「おばちゃんが僕のママを追い出したんだ!もう二度と会いたくない!」

分かるだろう?人間は本能的に自分を守る。子供ですら、自分が覚えておきたいことしか記憶に残らない。

私は車のドアを閉める直前、楓が私を引き留めようとした。その口元が「恭子、行かないで」と言っているように見えた。

でも、私は運転手に車を発進させてもらった。

今の私はもう楓を愛していない。でも、9年間も楓を好きでいた私の
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