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第7話

家に帰るのが怖くて、夜は家族を連れて高級ホテルに泊まることにした。

僕はフロントに特別にお願いした。誰であっても、僕の許可がない限り、部屋の情報を教えないでほしいと。また、エレベーターにも人を乗せないように頼んだ。

「たとえ僕の娘だと言っても、絶対に入れないでください」

フロントスタッフは少し驚いた様子だったが、うなずいて了承してくれた。

この数日の観察から言えば、星奈がたとえ普通の人間ではなくても、小説や映画に出てくるような強力な霊や怪物ではなさそうだった。

彼女は怪我をすれば血も流すし、すべてを知っているわけでもない。

僕たちが彼女の見つからない、入れない場所に隠れさえすれば、この夜を乗り切れるかもしれない。そしてお義母さんが来たら、すべてが終わることを願うばかりだ。

月子は今や完全に正気を失っているようで、ずっと「ごめんなさい、許して、ごめんなさい、許して」とぶつぶつ繰り返している。

僕が話しかけても、まったく反応せず、ただひとりで座って、まるで過去の時間に囚われているような目をしていた。

僕は雪奈を抱きしめ、目を閉じたが、眠る勇気などまったくなかった。

すでに深夜の12時を過ぎ、お義母さんからのメッセージが届いた。雨の影響で列車が遅れており、到着にはあと2、3時間かかるという。

僕はホテルの住所をお義母さんに送り、直接ここに来てくれるように頼んだ。

この数日の緊張で、心も体も疲れ果てていた。目を閉じても、眠れないまま、頭の中は何も考えられなくなっていた。

その時、腕の中の雪奈が動いた。彼女が目を覚ましたのかと思い、背中を優しく叩きながら、そっと囁いた。

「雪奈、眠っていいよ。パパもママもここにいるからね」

すると、雪奈が顔を僕に近づけ、笑みを含んだ声で言った。

「ありがとう、パパ。でも私、星奈だよ!」

僕は驚いて目を見開いた。星奈の顔が、まるで僕の顔に貼り付くように近づいていた。長い髪が蜘蛛の巣のように僕を包み込み、彼女の口元は不自然に裂け、温かい血の臭いが僕の目に吹きかけられた。

思わず叫び声を上げ、彼女を振り払って、慌てて明かりをつけた。

彼女は乱れた髪を振り乱しながら、ベッドに座って笑い続け、手には何かを握っていた。

「パパとママへのプレゼントだよ!夜食をどうぞ!」

そう叫びながら、それを僕の口に押し込もうとし
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