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第5話

雪奈を、妻と僕の寝室に閉じ込め、ドアに鍵をかけた。鍵は自分のポケットに入れて持ち歩いていた。

星奈はソファに座り、興味深そうに部屋の中を見回していた。

月子はこの異常な状況に耐えられず、何も言わずにベランダへと逃げ込んだ。彼女はお義母さんと電話で話しているらしく、しばらくして家の中に激しい口論と月子の泣き声が響き渡った。

僕は様子を見に行ったが、月子はベランダのドアに鍵をかけていた。

今の月子には、僕に隠している秘密が多すぎる気がしていた。

星奈は普通の子どものように、ソファに座って足をぶらぶらさせていた。そして、雪奈のおもちゃを指差して言った。

「パパ、これで遊びたい」

全身に寒気が走ったが、感情を抑えながら答えた。

「僕はお前のパパじゃない。そんなふうに呼ぶな」

その午後、星奈はずっと普通の子どものように振る舞っていた。もし彼女の由緒があまりにも怪しくなければ、普通の子どもだと信じてしまいそうだった。

どれくらいの時間が過ぎただろうか。月子が赤く腫れた目でベランダから出てきて、お義母さんが今、田舎からこちらに向かっていると教えてくれた。

まずバスで町に行き、そこから電車に乗って来るとのことだった。明日の夜に着く予定だ。

僕は月子を引き寄せ、小声で言った。

「本当にこの知らない子どもを実家に連れて行くつもりなのか?」

月子は何も言わず、エプロンをつけて黙々と台所へ向かった。

夕食の準備が始まったが、今日の月子の料理はどこかおかしかった。どの料理も塩辛すぎたり、味が薄すぎたりして、雪奈は首を振りながら食べていた。星奈は僕たちが食事をする様子を見ていたが、一切手をつけなかった。

夜になると、星奈は自分から雪奈の部屋に入り、僕は妻と雪奈と一緒に主寝室で寝ることにした。ドアには鍵をかけ、重いナイトテーブルをドアの前に置いて押さえた。

台所の包丁や他の危険な道具は全て片付けた。

自分の家にいるというのに、全く安全を感じることができなかった。

僕は全然眠れず、風のささいな音にさえ怯えていた。

夜中、ドアが開く音が聞こえた。星奈が出てきたようだ。

裸足のままベッドを降り、そっとドアの方へ歩いて行った。耳をドアに押し当てるが、外は静まり返っていて、足音も物音も聞こえない。

その時、ふと思い浮かんだ。もしかしたら星奈も、僕と同じように静か
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