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第6話

プロジェクトが完了した翌日、私は人を連れて会社の株主総会に乗り込んだ。

数人の株主たちは互いに顔を見合わせ、グループの古株さんの一部は、私が連れてきた人物が誰なのかすぐに気づき、からかうような視線が怜司に向けられた。

怜司は主席に座っており、不機嫌そうな表情を浮かべながら言った。

「夕子、会議中なんだが、突然どうしたんだ?」

私は彼の問いには答えず、ただ後ろにいる人物を前に進ませた。

「今日は、皆さんに証人になってもらうためにここに来ました。私の持つ株が正当なものだということを、誰にも疑われないようにね」

怜司は状況を理解できないまま、唇をきつく引き結んで私を見つめていた。

私は軽く笑い、紹介を始めた。「こちらは私の父の生前の秘書であり、専属弁護士でもある。父が亡くなった後、法的に私の両親が残した株式を管理してくれていた」

「そして今日、その株式はすべて私の名義に移される」

私の言葉が終わると、弁護士は法律に基づく規定を読み上げ、契約書や譲渡に関する説明を行った。

多くの目が見守る中、私は署名し、押印をして、正式に会社の最大の株主となった。

その瞬間、すべてが劇的に変わった。

怜司の表情は複雑で、その目には何とも言えない感情が浮かんでいた。

しかし、私は彼を気にかける余裕などなく、すぐに株式の引き継ぎ手続きを進めることに集中した。

この出来事は瞬く間に社内に広まり、社員たちの話題となった。トイレに行くと、私のことが噂されているのが聞こえたほどだった。

「ねえ、聞いた?Aチームにいた夕子ってさ、実はうちの創業者である秋川青山の娘らしいよ!」

「うんうん、私も聞いた!飛鳥グループの藤田社長が、彼女たちの祝賀会でそう言ってたんだって!」

「しかも、その夕子、刑務所に入ってたって話だよ!」

「そうそう、誰かが調べたみたいで、罪名は殺人未遂だって!」

「ええっ!誰を殺そうとしたの?」

もう一人が声を低めて言った。「どうやらAチームの琴美らしいよ」

「えっ?それじゃ、今も一緒に働いてるってこと?」

「いやいや、そんな簡単な話じゃないんだよ。当時、夕子はずっと無実を主張していて、証拠を集めてたんだ。真相は分からないけど」

その女性社員は少し間をおいて、さらに声を潜めて言った。「でもね、後で怜司が琴美のために証言して、夕子が有罪になった
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