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第4話

祝賀会は、ある五つ星ホテルで開かれた。聞くところによると、その日は琴美の誕生日でもあり、怜司が彼女を祝うために特別にこの場所を選んだそうだ。

会場には多くの人が集まった。琴美の部署のメンバーに加え、他のいくつかの部署の部長たちも出席していた。

宴席は賑やかで、琴美は怜司の腕の中に倒れ込むようにして、杯を片手に楽しげに笑っていた。二人は密着して囁き合い、その様子はまるで恋人同士のように親密だった。

気の利いた誰かが二人をからかい始めると、琴美は一瞬で恥ずかしそうに顔を赤らめ、まるで蕾がほころびかける花のように怜司の後ろに隠れた。

怜司の表情には変化はなく、むしろ私の方に視線を向けてきた。

私は顔をそむけ、目の前の光景が見苦しく感じてしまった。

次の瞬間、琴美の挑発的な声が耳元に響いた。

「夕子、会社に来てもう半月は経つけど、何か学んだことある?」

彼女は怜司の腕にしっかりと抱きつき、私を見下ろしていた。

私は答えず、琴美は軽く笑いながら自分の話を続けた。

「これはね、怜司が古い付き合いがあるからこそ、特別に君のために用意したポジションなんだよ。普通、前科者がうちの会社に入るなんて考えられない。掃除の仕事だって誰も雇ってくれないだろうしね。だから、このチャンスは大事にしないと」

他の人たちも、私と琴美の不和に気づいているようで、次々と彼女を持ち上げる発言をし始めた。

「そうだよ、私たちの部署には、早川さんみたいな素晴らしいリーダーがいるんだから、夕子ももっと彼女から学ぶべきだよ」

「早川さんって本当に寛大だよね。もし私だったら、彼女とは距離を置くけど」

……

琴美は手を振って、大人の余裕を見せるかのように言った。「まあ、いいのよ。夕子がしっかり学んでくれれば、怜司の好意を無駄にしなくて済むわ」

周りの人たちも同調し、一斉にお世辞の言葉が飛び交った。

突然、誰かが私の過去に興味を持ったのか、無神経に尋ねてきた。

「ねえ、夕子はどうして5年も刑務所にいたの?」

私は一口赤ワインを飲み、淡々と答えた。「殺人よ」

一瞬で部屋全体が静まり返った。

皆の視線が私に集中する中、私は続けてこう言った。「言い忘れてたけど、殺したのは目の前にいる早川さんよ」

この言葉に、琴美の表情が険しくなった。

5年間の恨みが胸の中に沸き上がってきた。

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