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第3話

数日休んだ後、怜司は私を迎えに来て、会社に連れて行った。

だが、彼が私を琴美の下に配属したのは、予想外だった。

数年ぶりに会った琴美は、権力と富に磨かれ、以前よりも美しさを増していた。それに対し、社会に戻って間もない私の姿は、時代に追いつけないまま、冴えない印象を与えていた。

怜司の顔には感情がほとんど見えなかった。

「これからは琴美が君の直属の上司になるさ。彼女の指示に従って働いてくれ」

私は琴美の得意げな顔を見たくなくて、怜司に視線を向けた。

「これ、わざとでしょ?」

怜司は眉をひそめた。「琴美は、君がこの数年外の世界に馴染めないかもしれないと心配して、助けると言ってくれたんだ。過去のことを気にせず君を受け入れた彼女に感謝すべきだろう」

私は冷笑し、「感謝するよ、この五年間、君たちがしっかりと会社を管理してくれたことにね」と皮肉を込めて言った。

この一言で、怜司と琴美の顔色は一瞬で曇り、周りの社員たちも互いに目を合わせ、その言葉の意味を測りかねていた。

怜司はこの話題に触れようとせず、仕事の説明を簡単に済ませて立ち去った。琴美と私が顔を突き合わせる形になった。

しばしの間、琴美は呆然とした後、嘲笑するように口元を歪めた。「夕子、何年経っても相変わらずね。少しも変わらないなんて、さすがよ」

私も負けずに言い返した。「早川さんこそ、器用に立ち回っているようね。さすがだわ」

琴美は悔しそうな表情を浮かべた。そして、すぐに冷静さを取り戻し、私にプロジェクトを投げつけてきた。

「これが私たちのチームで一番重要なプロジェクトよ。現状に満足してないなら、これを成功させてみせなさい。そうすれば、怜司に頼んで君を部長に昇進させてあげるわ、どう?」

私は企画書を軽くめくり、口元に笑みを浮かべた。「もう一度言って?」

琴美は満足そうな笑みを浮かべながら、一語一語をゆっくりと繰り返した。「このプロジェクトを成功させたら、怜司に頼んで君を部長に昇進させてあげるって言ったのよ」

私は笑顔を見せながら、「それなら、ありがとう」と返した。

確かにこのプロジェクトは簡単ではないが、私は取引先の社長と知り合いだ。彼は私が出所したと聞いて、先日わざわざ連絡をくれ、会いたいと言ってきた。そこでこのプロジェクトについて少し話すと、彼はすぐに乗り気になってくれた。

プロジェクトの進行は迅速で、数日で契約がまとまった。

琴美がこのことを知ったとき、その驚きは隠しきれず、彼女のヒアルロン酸で膨らんだ顔が怒りで歪んでしまいそうだった。

「ありえない......どうしてあんたが......」

彼女は言葉を途切れさせ、私に出て行くよう命じた。

その後、彼女は私の手柄をすべて自分のものとして、プロジェクトの成功を自分一人の功績に仕立て上げ、賭けのことについては一言も触れなかった。怜司は彼女のために祝賀会まで開くという。

私はすぐに彼女を暴露するつもりはなかった。ただ、心の中で次の一手を考えていた。

数日間の観察で、会社の現状を把握することができた。

現在の光明グループは、外見こそ立派だが、内情はボロボロだ。小さなプロジェクト一つでさえ簡単に進められず、祝賀会を開かなければならないほどだ。父が生きていた頃とは雲泥の差だ。

怜司は自分の立場を守るために、多くの下層部や管理職を入れ替えた。しかし、彼らは能力がなく、会社の高額な給料を得ていながら、何の成果も上げられなかった。ただの癌だ。

そして怜司自身も、実務能力に乏しい。

光明グループを昔の栄光に戻すためには、彼らの手から会社を取り戻さなければならない。
コメント (1)
goodnovel comment avatar
fumi
先が読みたいなと思いました
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