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第5話

久我東弥は坂本那月の前に立ち、二人は対峙した。

しかし、坂本那月は約190cmの身長を誇り、久我東弥の178cmに対して圧倒的だった。

その光景が滑稽で、私は思わず「ぷっ」と笑ってしまった。

誰も見ていないと思い、台の上に座った。

しかし、その瞬間、坂本那月の視線がこちらに向かってきた。

まるで私と目が合ったようで、身体がビクンと震え、急いで台から飛び降りた。

彼の口元が少し上がり、笑ったのだ!

彼は私を見ることができたのか!?

その発見に涙が出そうになったが、今は確認する時ではない。

上川亜衣子が呼んだメディアが押し寄せ、まるでゾンビの群れのように坂本那月を取り囲んでいた。

その勢いには、私まで緊張したが、彼は冷静だった。

「佐藤千世のためにあなたはどのような立場で弁護するのですか?」

「佐藤千世は盗作していないとおっしゃいましたが、証拠はありますか?」

「佐藤千世との間にどんな関係があるのですか?」

「佐藤千世本人はどこですか?」

「彼女は嘘をついただから来ないのでしょうか?」

......

この無道徳な記者たち!

上川亜衣子が頼んだだけあって、まさに彼女の手口そのものだ。

坂本那月は彼らを淡々と見渡し、「少々お待ちください」と言った。

「どういう意味ですか」

「あなたたちがやっぱり盗作したから答えできないのですか?」

坂本那月は言った。「あなたたちは専門の記者ではないからです」

この言葉が火に油を注ぎ、記者たちは一斉に彼を非難した。

しかし、彼は手を挙げて静止させ、「僕、坂本那月。A市の首席法医であり、当市最大なメディアを招待し、真相をライブでお届けします!」と宣言した。

凶案という言葉が響くと、会場は再び騒然とした。

彼らは上川亜衣子から高額で雇われた小報の記者たちで、凶案の話には驚いていた。

私は、逃げようとする二人に気づき、思わず叫んだ。

「彼らが逃げようとしている!」

「止めて!」

「二人の容疑者、どこに行くつもりですか?」

まるで心の通じ合ったように、坂本那月も久我東弥と上川亜衣子に目を向けた。

「何を言っているのですか!?」

「誰が犯罪容疑者ですか!?」

久我東弥の反応は、上川亜衣子よりも大きかった。

どうやら彼は彼女をとても大切に思っているようだ。

それでも、私の命を賭けてま
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