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第3話

「これは俺が自分で選んだものだ。どう?」

「可愛い、東弥、亜衣子に着けて!」

「いいよ」

私は二人の虚偽の顔をじっと見つめていた。

彼らの口を引き裂いてしまいたい気持ちだった。

いつから久我東弥が私のカードを自由に使えるようになったのだろう?

そこには、私が一生懸命ためた貯金が入っていて、孤児院に寄付するためのものだったのに。

「そういえば、明日の謝罪会、東弥も一緒に来る?」

「もちろん!少なくとも俺は彼女の夫だから、彼女の謝罪の場には必ず行くよ!」

私は驚いた。

私はもう死んでしまったのに、どうやって謝罪会を開くというのだ?

「彼女は必ず自分から謝りに来るべきだ。そうでなければ、私は夫婦の情分を顧みない!」

「東弥、そんなに怒らないで。千世が私が勝手にこの謝罪会を開いたことを知ったら、きっと不快に思うわ」

「ふん!彼女は君の作品を盗んだのだから、君は優しすぎて、謝る機会を与えたのに、彼女が不快になるなんて許せない!」

つまり、この謝罪会は上川亜衣子が企画したものだった。

上川亜衣子は「林先生も招待したよ」と言った。

林先生は私の恩師で、学業面だけでなく、生活のどんな困難にも手を差し伸べてくれた。

私が専門を変えたいと言ったときも、彼女はずっと反対していた。

今思うと、彼女の言うことを聞いておけばよかった。

上川亜衣子の言葉を聞いて、私は不安になった。

林先生は高齢で、私のことを知ったら、彼女にとっても大きな打撃になるかもしれない。

彼女は心臓が悪い。

発表会で何かあったら、取り返しのつかないことになる。

まさか、上川亜衣子が私の全てを奪った上に、恩師にまで手を出すとは。

私はどうすることもできず、ただ不安に駆られた。

結局、私はもう死んでしまった。

私が一番恐れていた死に方、自分の子供の命も失うということだった。

ただ、病院の手術台ではなく、自分の湖畔の小屋で死んだだけだ。

新たな生を得た小猫は、私に付き合って無駄に命を落とした。

最も親しい夫に裏切られ、最も信頼していた学生に恨まれる。

親がいない私には、高齢でまだ何も知らない先生しかいない。

考えても考えても、一体誰が私を証明してくれるのか、朝が明けるまで考え続けた。

謝罪会の前に林先生が来た。

彼女は杖をつきながら、揺れながら歩いてきたが、その声は力強かった。

「私の学生が盗作するなんて信じられない!」

「佐藤千世が盗作するわけがない!」

「彼女はどこにいる?」

「彼女が私に直接言わない限り、私は彼女が盗作するなんて決して信じない!」

ちょうどその時、メディアが早く来ていて、カメラを構えていた。

私は心が締め付けられ、目に涙が浮かんだ。

私の先生は、一生を優雅に過ごし、世界的に知られているのに、まさか晩年になって私のために尻拭いをすることになるとは。

彼女は感情的になり、顔が赤くなってきた。

杖を持つ手は青白くなっていく。

彼女にはもう刺激を与えたくなかった。

私は久我東弥を見て、林先生が彼を指導したことを考慮して、彼女をまず連れ帰ってほしいと願った。

しかし、彼は何もしなかった。むしろ、上川亜衣子が公然と私の恩師を侮辱するのを許した。

彼女は私の原稿を取り出し、軽く林先生の顔に投げつけた。

「ほら、これが私のオリジナルだ!」

紙は地面に落ちた。

林先生は高齢で、足元が悪い。

彼女は息を詰め、杖をしっかり握りしめ、なんとかしゃがみ込もうとしていた。

私は涙を流しながら、ただ見ていることしかできなかった。

林先生は私の原稿を受け取り、さらに興奮した表情を浮かべた。

私は彼女が私の字を認識したことを知っていた。

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